第1章
更新が久々すぎる…。
いないと思いますが、待っていた方々には申し訳ありません。
次回から本編って嘘でした!
見えない、聞こえない、感じない。
球体が伸びる、三角が縮む、四角が消える。
赤が伸びる、青が縮む、黄色が消える。
見えないのに、見える。
産声が聞こえる、泣き声が聞こえる。
歌声が聞こえる、怒声が聞こえる。
聞こえないのに、聞こえる。
不定の大地に寝そべる。
無形の海にたゆたう。
極彩の空にただよう。
感じないのに、落ちる、漂う、浮かぶ。
意識が無い。意思がある。
肉が無い。心がある。
感覚が無い。想いがある。
くるりとまわる
ぐるりとまざる
ぐらりとゆれる
意識が覚醒する。
肉を認識する。
感覚を伝達する。
暗闇が見える。
怒声が聞こえる。
地面を感じる。
痛みを感じる。
痛い、痛い、痛い。
「いでぇ!?」
頭、というより額の激痛に飛び起きた。
暗い空と黒い床。
それ以外に無いどこかだ。
「やっと起きたな」
背後から声。
愛らしいソプラノボイスだが、やけに不遜な声色だ。
フンッとか鼻鳴らされたし。
振り向くと、少女。
「…何だ?いや、誰?」
背後にいたのは、少女だった。
うん、少女だ。
それしか分からない、認識できない。
そこにいるのに、そこにあるのに。
わからない。
一瞬だけ見えたのは黒いモヤ。
それが『少女』の形に見えた、だけ。
顔がない、腕がない、足がない。
「起きろ!」
また、声。と少女が動いた。
多分、足。
横からガツンと蹴られた。
「いった!?」
蹴られて、視えた。
長い黒髪と小さなな体躯を包むやたらと豪奢な黒いドレス。
気が強そうなツリ目と、すっと通った鼻筋、キリリと締まる口元。
いたのは少女だ。
ただ、頭に『不遜な』だとか『偉そうな』という枕詞のある美少女であるが。
で
「誰?」
「死ねぇ!」
また蹴られた。
小さいクセに力強い、腰の入ったイイ蹴りだ。
しかも死ねって…。
「だから痛いって!」
分からないから聞いて、蹴られるなんて、理不尽過ぎるだろ。
「まさか不定とは…。失敗作か…」
ブツブツとした呟きの割に随分鮮明に聞こえた。
『失敗作』という言葉に嫌な予感。
後頭部にジリリと走る焦りと背筋に悪寒。
「ま、待て!話せばわかる!」
とっさに手を突き出して叫んだ。
が、その手が変だ。
黒い、真っ黒。
日焼けだとかそんなモンじゃない。
ビニール袋に墨汁をパンパンに入れたら多分こんなモノになるだろう。
「おぉっ!?なんじゃこりゃ!?」
「黙れ失敗作!」
また蹴り。
でも慣れたね。
体が全て真っ黒だ。
足も、胴体も手と同じ。
顔は分からないが、こんな体で顔だけ普通じゃおかしいだろう。
でも、『普通』って何だ?
いや、そもそも
「俺は…誰だ?」
自分が自分であると『認識』できる。
でも、自分がナニか『理解』できない。
「不定ならば…定めるか…」
また、チリついた悪寒が走った。
ご清覧ありがとうございます。
ぼちぼちとゆっくり書いて行きますので、あまり期待はしないでください…。