序章
はじめまして、にゃふと申します。
物語の性質上多少の流血表現など残酷な描写がございますのでご注意ください。
そういった描写もなるべく薄めに書いていく工夫もしたいとは思いますが……。
稚拙ではありますが、よろしくお願いいたします。
自分で言うのもなんだと思うが、俺は幸せな人生を送ってきたと思う。
俺は裕福ではないが貧しいわけでもない中流家庭に生まれた。
でも、両親はしっかりと愛情を持って育ててくれたし、友人だってそれなりに多いと思う。
人並み程度に反抗期だってあったし、多感な「オトシゴロ」を過ごしてきた。
大きな事件に巻き込まれたわけでもないし、生死に関わるような傷病もなかった。
生まれてきての20ン年、人生に絶望したこともなきゃ、大きな幸運に恵まれたわけでもない。
実に平穏な人生だった。
それが全て過去形であるには理由がある。
大きな不幸も無かった人生に最大の不幸が訪れようとしているからだ。
感じるのは体から流れ出る血と、堅く冷たいアスファルト、凍えるほど寒い夜風。
今でも何がおきたか理解は出来ていない。
ただ、帰宅途中に腹部をナイフで刺されたということだけは理解した。
相手は分からない。
多分通り魔というものだろう。
一体、自分に何の因果あってこんなことになったのだろう。
自分は善人だと言う気は無いが、悪人ではないのは確かだ。
今まで警察のお世話になったこともないし、犯罪を犯したことも無い。
全く、最悪だ。
大往生なんていうには若すぎるし、波乱万丈な人生を送ってきたわけでもないのだ。
はっきり言って未練がありすぎる。
誰かもわからない犯人を思いっきり怨んでいる。
このままでは、死んでも死に切れない。
とは言っても、もう自力ではどうしようもない状態だ。
このまま血と一緒に流れる命の限り、怨み続けるしかできない。
自分を刺した犯人に、いもしないカミサマに……。
本当に
「クソったれ……」
意識は暗闇に呑まれていく――
閲覧ありがとうございます。
序章ということで、導入部分のみとなっております。
次回から本編の開始となります。
誤字脱字の報告や、感想などもよろしくお願いいたします。