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中学時代に嘘告白してきたギャルと、大学で数年ぶりに再会した。  作者: あざね
オープニング

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3/4

2.黒歴史を繰り返さないために。

今日はもう1話投げます。

そこまででオープニング終了。






『えー!? もしかして芥川、マジになっちゃってたのー?』

『冷静に考えて、あり得ないだろ? お前が天川さんに告られる、ってさ』



 天川からの嘘告白があってから少し経って。

 その噂はどこから漏れ出したのか、クラスメイトの陽キャたちがこちらを小馬鹿にしてきた。それに対して俺は黙っているしかできず、彼らの笑い声が嫌というほどに耳へ突き刺さってくる。

 そのたびに、あの時に浮かれてしまった自分が恥ずかしくなった。

 そして逃げるようにして教室を出たが、



『…………ここでも、か』



 廊下を歩いていると周囲からの視線を感じる。

 微かに耳に届いてくるのは、やはり嘲笑混じりの声だった。天川セイラは学校を代表するような有名人であり、美少女だ。そんな彼女からの嘘告白を真に受けた陰キャがいたとなれば、笑いものになっても当然だろう。

 そんな当たり前の流れも理解できなかった自分が嫌になるし、嘘の告白を仕掛けてきた天川への恨みも募った。


 もちろん、一番愚かなのは舞い上がった自分だけど。




『はぁ……いつまで続くんだ、これ』




 自然、そんなため息が漏れた。

 そして結局のところ、俺を笑う風潮は卒業まで続くのだ。





「そ、それじゃ……また、明日」

「……あぁ、また明日」




 天川セイラのおっかなびっくりな言葉に、俺も慎重に言葉を選び答えた。もう二度と一時の気持ちに流されて、後悔するようなことがないように。そう思っているからこそ、こんな当たり前な挨拶にさえ緊張してしまった。

 だけど、仕方のない話だろう。

 俺はあの日以降、卒業するまでの期間を苦しんだのだ。

 言ってしまえば黒歴史やトラウマのようなもので、昨夜に見た悪夢のようにつかず離れずを続けている。



「……行った、よな」



 会場の入り口付近。

 天川の背中が見えなくなるのを確かめてから、俺は周囲の目を気にする余裕もなく、その場にしゃがみ込んだ。

 そして大きくため息をつきながら、このように思う。


 ――本当にツイてない、と。


 ようやく記憶も薄れ始めた頃合いだったのに、どうしてこんな偶然が起きてしまうのだろうか。俺は己の身に降りかかった不運を呪いながら、またため息。

 そしておもむろに立ち上がって、深呼吸を繰り返した。



「……大丈夫。あのことを知っているやつは、俺たち以外にいない」



 その上で、自分を安心させるように言い聞かせる。

 アイツの動向に注意さえしていれば、妙な噂が広がるようなこともないはず。だったら対処はしやすい。その点についてだけ考えれば、同じ学部に入ったのは不幸中の幸い、というやつなのかもしれない。

 そう考えることにして、俺はアパートへの帰り道を歩き出した。



「でも、それにしたって――」



 すると、その道中で。

 俺は天川のことを思い出し、こう素直に考えてしまうのだった。




「……なんていうか、大人びて綺麗になってたな」――と。




 正直に言ってしまえば、驚くと同時に見惚れてしまったのは事実。

 しかし、そのことを思い返した後に――。



「だあああああ!! 俺はもう、あんなこと繰り返さないからなぁ!?」






 あの過去を思い返して、一人で頭を抱えるのだった。




 

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