5-20:異世界追放
「ここだ。この場所で召雷の黒魔法を使ってくれ。タイミングは私が合図する」
魔獣使いの女ショコラに案内されたのは彼女の住まいから近い場所、少し前に僕とエリンが魔獣が異世界からやって来るのを見た場所だ。
「この場所でないと駄目なのか?」
「そうだ。ここに私の世界とクロエとエリンの世界を繋ぐ道の出入口がある」
成る程な。道自体は元から存在しているが、その入口は普段閉まっているというわけか。
だから、魔法の力を使って入口を開いてやる必要があると。
「ところでショコラ? 何でさっきから魔獣を沢山連れて来ているの?」
「これか? ゲートを開いたらまずこいつらを全員送り返す。今は私が大人しくさせているが、私が元の世界に帰ったら魔法が解けてこの魔獣たちが一斉に暴れ出して大変な事になる。だから、まずは魔獣を元の世界に送り返す」
「あっ、そっか。これ全部倒すのも大変だもんね」
エリンの質問に対して魔獣使いの女ショコラはそう答えた。
確かに、こいつか旅立った瞬間に魔獣が一斉に襲い掛かってくるなんてのは嫌だしな。
「それじゃあクロエ、頼む」
僕は召雷の黒魔法を使い、指定された場所に対して天空から雷を落とす。
そして、それと同時に魔獣使いの女ショコラが白魔法を使ったところ、まるで空間が割れたかの様な感じ奇妙な光が一面に広がった。
「やった、やったーッ! 成功だ、これで帰れる!!」
ショコラは今までの態度からは想像できない感じではしゃいでいる。
その様子から察するに、どうやら本当に成功したのだろう。
「この光の中に飛び込めば元の世界に帰れる。まずは魔獣をこの中に入れるから見ていてくれ」
魔獣使いの女ショコラはそう言って魔獣を次々と奇妙に光る空間に飛び込ませる。
すると、飛び込んだ魔獣は光の向こう側には行かずに次々と消えてしまった。
「この光はずっとこのままなのか?」
「いや、時間が経てば消えてしまう。魔獣たちを全て送り返したら最後に私が飛び込むが、その前にこの光のゲートが消えてしまった時はもう一度開き直す。悪いがクロエ、その時はまた頼む」
こうして、残る全ての魔獣が光のゲートに入れられ、最後に残ったのは魔獣使いの女ショコラ一人となった。
「これで、お別れだ。クロエ、エリン、短い間だったが世話になった。ありがとう」
「ショコラ、元気でね」
「もう会う事が無いように祈るよ」
「エリンも元気で。クロエ、再会だなんて縁起でもないぞ」
魔獣使いの女ショコラは上機嫌で異世界に繋がる光のゲートに入り、そして消えてしまう。
あいつ、ゲートを通る時に持てるだけの食料を持っていたな。
ちゃっかりしているし、あの調子なら戻ってからも上手くやっていきそうだ。
「行っちゃったね」
「ああ、そうだな」
後には僕とエリンの二人、そしてまだ閉じていない怪しく光る光のゲートだけが残っている。
とりあえず、これで獣の厄災は討伐したって事でいいのかな?
そして、これで三厄災全てが討伐された事になると。
その栄誉はエリンに背負わせる事となるが、特に今回の獣の厄災を討伐したのは結局彼女自身。僕はただ手助けをしたに過ぎない。
だから、エリンには不満なくこれを受け取ってほしい。
こうして、僕がエリンに対して完全に油断しきっている時の事であった。
「ごめんッ、クロエ!」
エリンの声と共に突然僕の体は押される。
「クラウディオ! 生きて、お願いッ!」
微かにそう聞こえたような気がしながら、僕の体は異世界へと通じる奇妙な光のゲートに吸い込まれていった。
これで第五章は終わりとなり次のエピローグで完結します
ここまで読んでくださってありがとうございました
できれば次のエピローグも読んでやってください




