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逃亡するのに女装していた男魔道士、女戦士と知り合って一緒に旅する事になる  作者: ヘラジカ
第五章:獣の厄災

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5-11:獣の厄災を討伐せよ

 聖都の大魔道士役リリアンヌがエリンに課してきた試練とでも言うべきだろうか?


 護衛として雇って欲しければ獣の厄災を倒せとな。


 既にエリンには魔の厄災と武の厄災を討伐した実績があるし、この勢いで獣の厄災を討伐して三厄災全てを解決しろとの事か?


 獣の厄災はむしろ僕が倒した方がいいと思っていたくらいだし、その討伐を僕が手伝う事には何のためらいもない。


「正直リリアンヌ様の護衛の話は突然で、まだ自分の中で整理がつかないけれど、獣の厄災の討伐なら是非やらせてくださいッ!」


 エリンは正直だなあ。余計な事は言わずに黙ってこの討伐依頼を受けるとだけ言えばいいのに。


「エリンがやる気なら僕も手伝うよ」


「いいの、クロエ? クロエにできる事、私には何も無いけど?」


「獣の厄災討伐には僕も興味ある。だから、一人より二人の方がいいだろう?」


 それが一番の理由だが、折角生き返らせてもらったエリンにまた死なれでもしたらたまったもんじゃない。


「言っておくがクラウディオに拒否権はないぞ。本来ならば、俺に治療してもらう料金は高いんだ。だから、その分は働いて返してもらう」


 げげッ!


 それを言われると痛いな。元より断るつもりもないが。


「だからエリン、気兼ねなくクラウディオを使え」


「は、はい! ご、ごめんクロエ。私のせいで」


「気にするな。リリ姉もエリンが遠慮しない様にそう言っている」


 実際そうだろうしな。二人で討伐しよう。


 しかしながら、獣の厄災を討伐するには一つ大きな問題がある。


「ところでリリ姉? 僕とエリンの二人で獣の厄災を討伐するのはいいのだけどさあ。獣の厄災って何処にいるの? というか、居場所も正体も分からないから、どうやって討伐した事を証明すれば?」


 獣の厄災、こいつだけが厄災認定されているにも関わらず謎が多過ぎてどうにもならない。


 だが、リリアンヌはこれを討伐しろと言っている。


 だから、聖都の大魔道士という立場である故に獣の厄災について何か知っているのではないか?


 そう思って僕はあえてリリアンヌに聞いてみる。


 もしリリアンヌが何も知らないのであれば、適当に時間を置いてから「獣の厄災を討伐した」と嘘の報告をすれば真偽を確かめられなくて終わる話だしな。


 なので、流石に何も知らないという事は無いだろう。


「そうか、クラウディオにはまだ話していなかったな。獣の厄災は魔獣を操る魔獣使いだと言われているが、その正体を見た者はまだいない」


「おいおい。言われているとか、正体不明とか不確定過ぎてどうしようもないだろ?」


 僕が何度か出くわした喋る魔獣、あれが獣の厄災が操っていたものだとすれば納得がいくが、これだと僕が知る以上の情報は期待できそうにない。


 何より、居場所が分からなければどうしようもないだろ?


 しかし、聖都の大魔道士役リリアンヌはこう答えた。


「クラウディオ、話は最後まで聞け。いいか、獣の厄災による被害は日々起こっているし、その被害者たちが治療のためにこの聖都の神殿に運ばれてくる事も珍しくない。今日だってこれから運ばれてくる予定だ」


 成る程。朝食の場でこういう話をしたのは、この後から忙しくなるからか。


 そして、被害者たちから獣の厄災の情報を仕入れろと。


「分かったよ、リリ姉。その被害者たちから情報を聞いて探せって事だな?」


「うん、私も頑張る。何か戦いの参考になるかもしれないし」


「そうだな。被害者たちからの情報収集はやってほしいが、それはそれとして居場所ならおおよその見当がついている」


 今まで存在すらおぼろげだった獣の厄災の居場所が分かるのか!?


「被害が比較的集中している場所があってな、しかもここ聖都からもそこそこ近い。だから、ある程度の情報収集が終わったら、そこを探してみろ」

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