表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/69

1-6:大会当日の朝

 大会当日の朝。


 昨日はよく眠れたと思う。


 老人たちは森で獲れた獲物でご馳走してくれたし、夜は武勇伝を聞かされた。


 泊めてもらったのは森の中にある砦を改装した住居。


 多分、先の内戦で作られたものを再利用したのだろう。


 大人数で集まれる広間や食堂、それに元は大部屋だったところを改装した複数の個室。


 森の老戦士たちはここで共同生活をしているようだ。


「もう起きたのか。ワシはまだ眠いぞ」


 老戦士たちの一人が声をかけてきた。


「はい。今日は大会の日ですし」


「そうだそうだ。普段は二度寝するのだが、今日はそういうわけにはいかないな。他の連中も起こさないと」


 そう言って、僕に話しかけてきた老戦士は、他の寝ている仲間たちを起こしに行ってしまった。


 これからどうしよう?


 朝食もまだだしなあ。


 そういえば、今日の集合場所を聞くのを忘れていた。


 そんな事を考えていると、エリンがやってきた。


「おはよー。朝ごはん、こっちで食べようかと思って来たんだけど、師匠たち起きてる?」


 よかった、これで食後に合流する手間が省ける。


「あっ、あの、エリンさん。おはようございます」


「うん、今日はよろしくッ! でも、まずはごはんごはんッ!」


 エリンは何だか上機嫌のようである。


 大会当日だからだろうか?


 まあ、緊張しているよりかはいいか。


 それに、この大会で僕は基本何もやらなくていいはずだ。


 気楽にしていよう。


「なんじゃい、エリン。今日も飯食いに来たのか」


 起きてきた老戦士たちの一人がエリンに声をかける。


「だって師匠たちの作ったごはん、美味しいし」


「仕方ねえなあ。空腹で負けたとあっては笑えないからな。しっかり食っとけ」


 仲が良さそうで何よりだ。


 そんな仲の良い師弟たちとの朝食は、朝とは思えない程ににぎやかだった。


 まあ、大半の料理は昨日の残り物だが。


 それでも、皆で囲む食卓はいいものだ。


 そんな感じで朝食を楽しんでいたわけだが、


「おっと、もうこんな時間だ。そろそろ支度しないと出遅れるぞ」


「不戦敗なんてオチは勘弁しろよな」


 出発の時間か。


 そうゆっくりもしていられないな。


「うん、それじゃあ行ってくるね!」


「おう。行ってこい。ワシらも後で遠目に応援しに行くからな」


 そうして、エリンは飛び出してしまった。


「まっ、待ってください。エリンさん」


 僕は、老戦士たちに挨拶をする間もなく、慌ててエリンを追いかける羽目になった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ