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4-10:ローズマリー兄妹

 三人の男戦士たちは、あれからしばらくは動けない状態でその場でうずくまっていた。


 というか、ローズマリーとその兄が近くの木に縄で縛り付けていた。


 用意がいいというか何とやらだが、村の近くだからその内に村人が見つけて縄を解くだろう。


 だが、それよりも問題はローズマリー兄妹がエリンと僕の旅についてきた事だ。


「エリンはアルベルト様のところに行くんだって? だったら、アタイたちが案内してやるよ」


「そうだけど、ロージー知っているの?」


「むしろ、この辺りだと知らない人なんていないって感じ」


 ここはまだ、武の厄災アルベルトの支配地域から離れているのになあ。


 そんなに影響力があるのか?


 しかも、嫌われているどころか逆に慕われているような感じだし。


「アルベルト様は、この辺りに魔獣が出没した時に国の軍隊より先に討伐してくれるんだ。だから、憧れて戦士になったり弟子入りしたりする人も結構いてさ、うちのお兄ちゃんもアルベルト様の弟子になるのを目指して戦士やっているんだ」


 だから、あの戦士たちもエリンを必死で止めようとしていたけど、戦士としてのプライドが捨てきれずに闇討ちができなかったと。


 前に出会った破門された元弟子がヤバかっただけというか、破門されるほどにヤバい連中だっただけなのか。


 しかし、エリンの目的は武の厄災アルベルトの討伐。


 何故そんな人間を素直に案内するのか?


 単純にアルベルトが負けるわけないという自信からなのだといいが、怪しい。


 僕の正体とか関係なく本当にこのまま一緒で大丈夫か?


「でも、ロージー。私、これから武の厄災アルベルトを倒しに行くんだよ。それなのに案内していいの?」


「大丈夫。アルベルト様、強い相手と戦えなくてずっと不満そうだったし、むしろ戦って欲しいんだ」


「うーん。そういう事なら」


 不安ではあるが、今はエリンの旅だ。


 だから、決めるのはエリン。


 警戒はすれど、エリンが問題無いと判断するならば、そこはエリンに任せようと思う。


「何、心配するな。俺たちだって何時までも魔獣討伐をアルベルト様に任せるわけにいかないんだ。俺たちで倒せるようにならないと」


「お兄ちゃん! アルベルト様が負けるみたいな事言わないで!」


「ご、ごめん」


 仲の良さそうな兄妹だ。


 結局僕は妹を自分の手で殺す事になってしまったが、クラウディアが周りの人間を次々と殺す事さえ無ければ、あんな風に仲良く過ごせたであろうか?


 いや、過ぎた事を考えても仕方がないな。


 とにかく、僕の杞憂でローズマリー兄妹には何もなければそれでいい。


 そう思いながら、僕はエリンとの旅を続けた。

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