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プロローグ

最初に分かり易くクロエの強さを示す戦闘シーンがあった方がいいかと思い追加してみたプロローグなので、読まなくても大丈夫です。

(割り込み投稿を試してみたかったのもあります)

 僕が森の中に逃げ込むと、先程から「待て」と叫びながら僕を殺しに追いかけて来た追っ手たちの声が、急に聞こえなくなった。


 妙だな? だが、これは追っ手たちから距離を離す好機かもしれない。


 不思議に思いながらも、これ幸運と僕は森の奥へと進む。


 それから、程なくの事だ。


 獰猛な声と共に獣が近づく気配がした。


 成る程、追っ手たちが急に追いかけてこなくなったのはこいつが原因か。


 僕の目の前に現れたのはクマだった。


 特に特徴があるわけでもないごく普通のクマだが、それでもこいつを殺すには人を殺す装備では無理だ。


 人間よりも頑丈なクマを殺すには、それ用のもっと強い装備が必要。僕を殺しに追いかけて来た追っ手たちには手に余る相手である、


 おそらく、追っ手は僕がこいつに殺されると思って追いかけるのをやめたか、あるいは僕をクマがいるこの森に誘いこんだといったところ。


 何れにせよ、あのまま追っ手たちが僕を追いかけて森の中に入れば、逆に自分たちがこのクマに殺されかねない。


「不運だな」


 咆哮と共に立ち上がって襲い掛かってくるクマ。


 だが、それに対して僕は雷の黒魔法を放ち、難なくそれを一撃で倒す。


 不運なクマだ。僕に出会わなければ雷の黒魔法で黒焦げになって倒れる事もなかっただろうに。


 僕が追っ手たちから逃げていたのは殺されそうになったからではない。


 追っ手たちを黒魔法の力で傷付けないためだ。


 クマをいとも簡単に一撃で倒したこの力で追っ手を殺さないため。


 まあ、それも無理な状況ならば仕方が無いのだが、できれば殺したくはない。


 ん? 何やら火が燃えるような音がした。


 周囲を確認すると、先程のクマが倒れた周辺の木々に火がついている。


 どうやら、雷の黒魔法の力は余りにも強力過ぎたのか、クマを一撃で倒した雷の余波により近くの木々に点火してしまったようだ。


 やばい、このままでは火事になって辺り一面が火の海になってしまう。


 僕は慌てて氷の黒魔法を使い、周辺に燃え広がる前に火がついた木々を凍らせる事により消火した。


 危ない危ない。


 クマを倒すつもりが森を焼き払ってしまうところではないか。


 黒魔法は強力だ。その力に魅了されるのも分かるくらいに。


 だが、それも使い方を一歩間違えれば大変な事になる。


 今さっき使ってみて改めてその恐ろしさを再確認した。


 僕、クラウディオ・ロナ・エリクシールは黒魔道士。


 卒業したばかりの魔法学校では十八歳と偽っていたが、実年齢は今年で二十歳だ。


 魔法学校で卒業の儀式を受ける事により、外の世界で黒魔法が使える様になったばかりの身である。


 まあ、そのせいでさっきから追っ手たちに追われているわけだが。


 この国では黒魔法を使う事、そして黒魔道士になる事ができる男が魔道士になる事が禁止されている。


 クマを軽く一撃で倒すどころか、森を難なく焼き払えてしまう程の強過ぎる力。故に禁止されているのだろう。


 僕は、この強大な力を手に入れる事が悪い事であると十分に自覚している。


 こんな危険な力を持つ人間が存在していてはいけない。


 危険分子として殺されるのも当然だ。


 だが、それでも僕にはやらなければいけない一族としての使命がある。


 故に、僕は女装して性別を偽ってまで魔道士となり、この黒魔法の力を手に入れた。


 とりあえず、クマのおかげで時間は稼げたが、それも直にバレるだろう。


 とにかく急ごう。追っ手たちに勘づかれる前に逃げて少しでも距離を離したい。


 そして、使命を果たなければ。


 この黒魔法の力で、妹を殺すという一族の者としてのケジメをつけるために!

クロエ(クラウディオ・ロナ・エリクシール)の年齢を20歳に設定したのは、昨今色々とあるので念のためです(本当はもう少し若くてもいいと作者は個人的に思っています)

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