大海の彼方に見えるもの
三十年の間、私は航海してきた
その歳月の中で
上陸できそうな島はなかった
小さな島々を遠くに見て
私は通り過ぎてきた
時には、大きなうねりを乗り越えながら
時には、青く澄んだ海面を疾走しながら
あぁそういえば
一度だけ大きな島が見えた
船をつけて上陸はできなかったが
私はその島に近づいてみた
島には人が住んでいた
すでに先客がいたのだ
地形も私を拒絶するかのような絶壁だった
島の周りを私は調べた
もしかしたらという
淡い期待があったが
上陸するだけの勇気も技術もなかった
いつまでもその島を眺めていた
その島でずいぶん時間を費やした
気付けば、三年を過ぎていた
憔悴しきった私は
島から離れ
再び大海へ出た
そして、最近になって島が見えた
上陸できるかどうかはまだわからない
先客がいるかもしれない
近づくにつれて
大きな島だとわかってきた
今、私はその島に向かっている
島は動きはしない
私の到着を待っているはずだ
やがて私は知るだろう
この島が想像以上に大きいことを
そして、未知なる大地を
私は調べるだろう
上陸できそうなら
今度こそ迷わずに船から降りよう
そして新たな旅は
島の上で繰り広げられるだろう
旅が終わる頃には
私はその島で息絶えたいと願う
海の上ではなく
その島の上で
母なる大地の上で
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