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後ろから攻められたい子


 九重のキャンプ以来、僕は毎日同じ夢を見ていた。

 それは九重山で、背後から“逆あすなら抱き”をしてきたクラスメイト。

 植田 下子さんの微乳。

 あの感覚が忘れられず、毎日悶々と考えているため、夢に出て来る。


『童貞くん、この前は背後から胸をおしつけてごめ~ん♪』


 と言いながら、腰を屈める植田さん。

 まだ成長の途中だが、胸の谷間が垣間見える。

 真面目な女の子だと思っていたのに、なんてハレンチな子だ……。


「はっ!?」


 毎朝、目を覚ます度、その誘惑に負けてしまいそうになる。


  ※


 朝、登校時。階段を上っていると、曲がり角で誰かとぶつかってしまった。


「いてっ」

「あいた」


 お互い、目を逸らしていたから仕方ない。

 でも、一応謝っておこう。


「ごめんね……」

「ううん。こちらこそって、童貞くんだ。おはよう」


 と微笑むのは、先ほどまで僕に胸を押しつけていた植田さんじゃないか。(夢の中)

 上目遣いで微笑んでいる。

 なんか、見透かされているような気がする。


「そ、その僕は……“使って”ないから!」

「え? 使う?」


(ヤバい。バカ正直に告白してしまった)


「と、とりあえず、またね!」

「うん。またね」


 どうにか、誤魔化せた。


 ~掃除時間~


 僕と植田さんは、同じ班だ。

 しかし、クラス内で風邪が流行っており、担当している生徒たちは欠席が多かった。

 そのため、校舎の渡り廊下を、僕と植田さんだけで、掃除することに。


 長い渡り廊下を二人だけで、雑巾がけとは苦行でしかない。

 でも、担任の美人先生は怒るとゲンコツしてくるから、やらないとダメだもんな。


 植田さんがバケツに冷たい水を、いっぱい入れて持ってくる。


「童貞くん! 二人だけだから、さびしいけど。頑張ろうね♪」

「うん……」

「左は私がするから、反対の右側は、童貞くんに任せていいかな?」

「わかった」


 お互い、一番端っこから雑巾がけを始める。

 腰を下ろして四つん這いの状態で、左右に大きく拭き上げる。

 地味にしんどいし、たまに渡り廊下を歩く生徒がいるので、その度に拭き直す。


(バカらしい……金をもらっても嫌な作業だ……)


 と思っていたら、目の前に金より輝く代物が。

 真っ白なパンティーだ。

 植田さんたら、掃除に夢中でスカートの中を隠せていないんだ。


 遠く離れている場所で、雑巾がけをしているとはいえ、見える。

 いや、丸見えだ!


「はっ!?」


(まさか……植田さんたら、この前のことを引きずっているのか!? 奥手な僕に、後ろから攻めて欲しくて、スカートの中を見せつけているんだ!)


 それからの僕は、素早かった。

 車のワイパー並みに、高速の雑巾がけを行い、植田さんに少しでも近づくよう頑張る。

 パンティーという、餌が良かったのだろう。

 彼女の下半身を堪能したいがために、前へ、前へと進む。


 ~数分後~


 あともう少しで、植田さんとドッキングするところで。

 誰かが、僕の前に立ちはだかる。


「童貞っ!」


 見上げると、担任の美人先生だった。

 腰に手をやって、怒っているように見えた。


「え? なんすか?」


(もう邪魔だよ、先生。僕は早く植田さんを攻めてあげないと、ダメなのに)


「童貞! あんた、この廊下をひとりで掃除したの?」

「は?」

「偉いじゃん! 童貞、やるね~!」


 なぜか、褒められてしまった。

 僕はただ植田さんのパンティーを、近くで見たかっただけなのに。


 先生の登場により、植田さんが立ち上がってしまう。


「あっ! ホントだ! すごい、童貞くん。私の分まで掃除してる! ありがとう~」

「え?」


 振り返ると、必要以上の量を雑巾がけしていた。

 僕としてはただ植田さんのヒップを、追いかけていただけなのに……。


「童貞くんって、やっぱり私が思っていた通り。真面目で良い人だね♪ 憧れちゃう!」

「いや、その……」


 このあと、帰りのホームルームで先生と植田さんが、僕のことをみんなに褒めてくれた。

 全く、僕が好きだからって。ここまでやらなくて良いのに……。

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