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5長い一日

物語の都合上、今回から「希崎」の部分を「ノゾミ」に変えました。

同一人物となりますので、ご理解のほどよろしくお願いします。

ノゾミは骨太なゴブリンが完全に過ぎ去ったのを見届けた後、痩身のゴブリンのもとへと駆けた。痩身のゴブリンはこちらに気づいたのか、微弱ではあるが音へ反応した。幸いにも意識はあるようだ。


「だ、大丈夫ですか?」

「すみませんが、肩を貸していただいても…」

「あ、はい」


ノゾミはすかさず肩をまわし、そのまま痩身のゴブリンと共に立ち上がる。


「えと、お家は近くにあるんですか?」

「ええ、この先に私たちの集落があります」


そう言って、痩身のゴブリンは森の奥を指差す。ノゾミも指さされた方向をみたが、そこには本当に集落があるのかと怪しんでしまう暗さを持った森が広がっているだけだった。

しかし、このチャンスを逃すわけにはいかない。


「よければ、その集落まで送って差し上げましょうか?」

「いやいやそんな、そこまでしていただかなくても」

「あ、いや、実はですね……」


せっかく手にした希望を捨てまいと、ノゾミはこれまでの自分の経緯について痩身のゴブリンに話した。

しかしノゾミは自分の経緯を話す中で、自分が転生者と言うことは隠し、森の中で彷徨ってしまったと嘘をついた。ここでいきなり転生者として説明しても混乱してしまうだろうし、それよりも、()()()()()()()()と言うことにしておけば、幾らか話がスムーズになるだろうと考えたためである。


「ああ、そういうことでしたか。それでしたらぜひ我が集落へ」

「あ、ありがとうございます」


思わずガッツポーズをしたくなる。

異世界に飛ばされて一日と経ってはいないものの、なんとか夜を安全に過ごせることが出来そうで、ノゾミは安堵した。

ノゾミは痩身のゴブリンと共に集落へと歩く。ずんずん森の中を歩いて行くとどことなく音が聞こえてきた。次第に音は大きくなり、それが話し声だというのに気がつく。それとほぼ同時に真っ暗闇にうっすらと光が現れた。近づけば近づくほど光の輪郭ははっきりしていき、その正体が火だと分ったときにはもう集落の入り口に着いていた。


「マサさん!」

「マサ爺!」


さっき聞こえてきた会話の主達がわらわらと入り口に集まってくる。彼らの発言から察するに、横にいる痩身のゴブリンはマサという名前なのだろう。


「みんな、心配させて済まんかった」

「マサさん、そっちの人は?」


村の若いゴブリンがノゾミを指さす。


「あ、初めまして。ノゾミです。マサさんに助けていただいて…」

「いやいや、助けられたのはむしろ私のほうだ」

「いやいや私が…」

「いやいや私の方が…」


突如として始まったやりとりに、村のゴブリン達は困惑している。それもそのはずである。行方が分らなかったマサさんが帰ってきたかと思えば、何やら横にいる青年と急に言い合いをしているのだ。そんな状況、誰だって困惑してしまうだろう。

見かねたマサさんが、ノゾミの肩から自分の手をするりと下ろし、ぱんと拍手をしたかと思えば、すかさず「実は…」と先ほどまでの出来事を話し始めた。


マサさんの話が終わるや否や、ゴブリン達は一斉にノゾミの下へと集まった。


「おまえいいやつなんだな!」

「ありがとう。あんたは恩人だ」

「泊まっていきな。精一杯もてなすよ!」

「お、え…」


その勢いと変わりようにノゾミはたじろいだ。しかしゴブリンたちはそんなのお構いなしにとノゾミの手を引き、ノゾミは集落へと足を踏み入れた。

こうして、ノゾミの一日は終了した。

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