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クズニートの成り上がり~『剣の翼』を手に入れ、『ボーナスダンジョン級チート訓練所』で最強になったクズ男の至高堕天録~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
結章「決断するクズ男」

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5話 ナメんじゃねぇよ。


 5話 ナメんじゃねぇよ。


「朝から晩まで……何度も、何度も、私は君と戦い続け……そして、常に負け続けた。負けて、負けて、負け続けた。本当に、生きるのがイヤになるほど、死ぬほど負けた。しかし……負けるたびに、私の中での『VS天童久寿男』の精度はどんどん上がっていった」



「……」


「……いつしか『君に勝ちたい』という願いは、私を底上げしてくれていた。『もう、これ以上は強くなれない』と思っていた『限界値』は、私の思い込みにすぎなかった。君に勝つ事だけを考え続けた時間は、私を一歩先の世界へと押し上げてくれた」


「……」


「私は『VS天童久寿男』の達人。そして私は……」


 ギラリと目が光った。

 踏み込み足が加速する。



「君より強い……名実ともに、最強の天使候補生だ」



 ふところに踏み込み、

 腰を入れる。

 『そんな流れ』の中で、

 剣を握る腕に『伝導率を重視』した『純度の高いエネルギー』を込めた。


 りきみすぎないように、

 剣の旋律に逆らわないように、


 だから、きっと、すべてが『ゆっくり』になった気がしたんだ。


 ――安西は、『自分の勝利』を確信した。

 相手が天童であっても、さすがに、この一撃はふせげない。

 そう確信せざるをえないほど、

 安西の一撃は、あまりにも鮮やかに決まりすぎていた。


 ――が、


「……イメトレねぇ……」


 安西の剣が、天童を裂く直前、

 コンマの下に無数の0がつく虚空を飲み込んで、


 天童の体幹が螺旋となり、

 宙に鮮やかな弧を描いた。


 安西の剣を、柳のように、全身でいなし、

 一切の力みがない『自由になった剣』で、


 キシンッッ……


 と、『安西の剣』を二つに裂いた。






「……っ……!!」






 あまりにも壮絶な光景を受けて、

 固まってしまっている安西に、

 天童は言う。


「これまで、ずっと……」


 かみしめるように、


「……ずっと闘い続けてきた。あまたの悪意と……」


 その声には重みがあって、


「躊躇なく俺を殺そうとする『力天使』と戦った……アホみたいな火力で俺を消しクズにしようとする主天使と殺し合った……」


 積んできた地獄を並べて、そろえて、


「そして、9998回という『数字の地獄』を乗り越えた……これまでずっと……命をかけて、最前線で……ずっと、ずっと、俺は、戦場狂いで……あり続けた……」


「……」





「ざけんじゃねぇぞ……『イメトレ』で超えられてたまるかよ……」





「……」


 天童の言葉を受けて、安西はゆっくりと目を閉じた。

 折れた剣をその場に捨てて、


「……天童久寿男……偉大なる最強の天使候補よ…………君は、すごい……」


 名前をつぶやき、


「君が……君こそが……」


 そして、





「――主人公だ――」



 



「……過分なお言葉……感謝します……そして、先ほどの無礼な発言を……謝罪します……」


「無礼だったのは私の方だ……私は、あまりにも、君を侮りすぎていた」


「そんなことは――」


「天童大佐。私の謝罪を……どうか『私に対する情け』と捉え、まっすぐに受け取ってくれないか?」


 あまりにも真摯なその態度を受けて、

 天童は、拒絶の言葉を見失い、

 だから、


「……閣下の命令に逆らう気は……ありません」


 うやうやしく、頭をさげて、そう言った。


 安西は、柔らかく微笑んで、


「……ありがとう、大佐」


 その言葉を残し、

 天童に背中を向けて、

 この場から去っていった。


 ――と同時に、




『偉大なる戦神の誕生。貴官には敬服する。その領域までたどり着いた人間は、今まで、一人もいない』




「……そうか……だろうな……こんなアホな事が出来る奴は、俺以外にいるワケねぇ……」


 体力的に、いいかげん限界の向こう側まできているが、

 天童は、ギリギリのところで、へたりこまずに、

 その両足で立っていた。


 せっかく、ここまできたのだ。

 最後の最後まで、かっこつけてやる。

 その気概。



『うむ……ああ、いや、しかし、見事だ。感服した。9999勝。人の器で、この偉業を達成できる者は、他にいないだろう』



「あぁ……いないさ……いるわけねぇ……」


 時間とともに、疲労が重たくなってきて、

 だから、当然、死ぬ直前の魚のように、ぐったりとしている天童。


 お褒めの言葉なんざいらないから、とにかく、さっさと終わらせてほしい。

 それが本音。


『それでは、最後の闘いといこう。キッチリと、美しく飾って、誰しもの記憶に残り続ける、永遠にして無上の伝説になりたまえ』



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― 新着の感想 ―
[一言] だから、きっと、すべてが 『ゆっくり』になった気がしたんだ。 →全てが「生首」になった気がしたんだ。 ネタです。読んでいて、ふと翻訳されました。 10000回目の戦いは、記念戦闘。だか…
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