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クズニートの成り上がり~『剣の翼』を手に入れ、『ボーナスダンジョン級チート訓練所』で最強になったクズ男の至高堕天録~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
第二部『堕ちていく、クズ男』

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28話 いたれりつくせり。


 28話 いたれりつくせり。


(なんの理由がある? 軍規違反を犯してまで、あのガキをかばう理由……だめだ……『例の件』が前提になければナニもない! 実際、あのガキが、高瀬の親族じゃなければ、俺はとっくに報告している。事実、今までの俺は、躊躇なく、それをやってきた。俺はそういう、ただのクズでカスで――)


「やっぱり、あのカスがタイプやからやん。ふぅん、久寿男って、あんな女がええんや。趣味悪いなぁ。もっと『ええ女』が、探さんでも『近く』におるのに……」


 最後の方はゴショゴショと小声になったが、

 前半はハッキリと聞き取れたので、

 当然、


「ん? 『あんな女』? 顔も知っているのか?」


 天童は、しっかりと反応をしめす。



「……アホの佐々波が『スマホで撮った写真』を見せてくれたんよ」



(あのカス……なに、至れり尽くせりで、俺の精神に負担をかけてくれやがってんだ)


「私も、ギャルメイクとかしてみようかなぁ」


「は? やめろ。あんなもんは『不完全な顔面』を取り繕うための悲しいデスマスクでしかない。お前が装着する必要はない」


「いや、本気で言うてるわけやないから、そんな必死に否定せんでええって。ほんま、アホやなぁ」


 作楽は、若干、引きながら、心の中で、


(ちょっと気ぃ引こうとしただけやのに……『そういうん』が、なんで分らんのかな、この唐変木。まさか、久寿男……ほんまに、あたしの気持ちに気付いてへんのとちゃうやろな。いや、ここまできて、流石に、それはないと思うけど……でも、戦闘力しか取り柄のない、このアホの事やから、もしかしたらって事も……)


 作楽は、そこで、少しだけ気合いを入れ直した。


 鈍感を通り越した『アホ』が相手なのだ。

 こちらが譲歩するしかない。

 惚れた方が負けなのはわかっている。


 互いに、永遠を生きる予定なのだから、

 別に、焦るつもりはないが、

 しかし、軽い確認くらいはせずにいられない乙女の性。


「あんなぁ、久寿男」


「どうした?」


「ついでやから、聞きたいんやけど……久寿男、好きな子っておるん?」


「なぜ急に、そんな……というか、作楽、お前、ついでという言葉の使い方を間違っているぞ?」


「そんなんええから、さっさと答えぇや。好きな子、おるん?」


 有無を言わさない、強い視線。

 ごまかしはきかない。

 『明言』のカツアゲ。


 天童は、彼女の『強さ』に、一瞬だけ尻込みしたものの、

 『こうなった時』の事前準備はバッチリなので、



「……いや」



 『確定の否定』を枕に、


「天使になって心に余裕ができてくれば、少しは『色恋沙汰について』も考えるかもしれんが、今は『天使に成る事だけ』で一杯一杯だ」


 よどみなく、そう答える。


 そんな、クソ面白くない『明言』に対し、


「……そう……なんや。ふぅん。あっそ」


 作楽は、露骨に白けた顔でソッポを向く。


 と、そこで、天童は、

 頭上にパっと電球を浮かばせて、


「っ……だ、だから、当然、例の中学生に対して、興味などカケラもない。よくわかったな。うんうん」


(そんな『ええ着陸ができた』みたいな顔されてもなぁ……別に、そのためのパスを出した訳やないんやけど)


(さすがは作楽だ。アホの佐々波と違い、引き際を心得ている。あまりにも急な話題の変化球に、最初は戸惑ったが、振り返ってみれば快活な話。ほんとうにこの女は――)


 天童が、『作楽の気配り』に感嘆していると、

 作楽は、実に女らしい、非常に淡白かつ冷酷な表情で、


「ほな、話戻るけど、上に報告せんのは、なんでなん?」


(あれ?! ひいてくれたんじゃないのか?! さっきの鋭角な対話は、互いの平和を求めての救済処置ではなかったのか?!)


 天童は『作楽の気持ち』を知っている。

 だが、天童の『対女子用コミュニケーション力』は三等兵級なので、

 先ほどの『作楽のキラーパス』を『華麗なボレーシュート』で完結させる事などとうてい不可能。


 所詮は童貞。

 悲しい童貞……



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― 新着の感想 ―
[一言] 作楽の信頼を失うくらいなら、いっそのこと 「自分のミスで殺してしまった高瀬の親族」と いう嘘を、作楽の記憶が戻るリスクを負ってでも 一度話すべきだと思うのですが。ビビっているのか それとも、…
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