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クズニートの成り上がり~『剣の翼』を手に入れ、『ボーナスダンジョン級チート訓練所』で最強になったクズ男の至高堕天録~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
第二部『堕ちていく、クズ男』

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26話 なぜ?


 26話 なぜ?


(俺以外と話している時は、その相手が、仮に一番身近で最も信頼を置いているであろう上位熾天使であっても、ツンケンした態度というか、バリバリのキャリアウーマン的な態度を崩さないくせに、なんで、俺には……)


 『なぜ、自分は、こうも優遇されているのだろう』

 ――と、出会うたびに思ってしまう。


「報告の前に、ひとつ、伺ってもよろしいでしょうか?」


「いいわよ。なんでも聞きなさい」


「なぜ、一介の候補生でしかない私なんぞを、毎度、毎度、こうも手厚くもてなしてくださるのでしょう」


「手厚く? ふつうだと思うわよ。呼びつけているのだから、お茶とお菓子くらい、普通は出すでしょう。常識的に」


「……まあ、そう言われてしまえば、確かに、そうでもあるのですが、互いの立場の差といいますか、なんというか……」


「そんな事より、報告書をもらえる?」


「あ、はい。もうしわけありません」


 提出した報告書を受け取ると、主は、


「うん、いつも通り、現場を的確にとらえた、素晴らしい報告書だわ。本当に、あなたは有能ね。おまけに、マジメで仕事熱心で勤勉で」


「お褒めに預かり光栄です」


「あなたなら、飛び級のセンター試験くらい、余裕だった?」


「いえ、ギリギリでした。やはり、主天使クラスが相手となると、勝敗は、かなりの運任せになります」


「つまり、あなたは運もいいということ?」


「運だけが異常に良い、と表現するのが適切かと愚考します」


「謙虚ね」


 主は、心底うれしそうに、ニコリとほほ笑んで、


「本試験は、明日の昼あたりに行おうかと思っているのだけれど、大丈夫? 心の準備は出来ている?」


「私の方は、いつであろうと問題ありません。すべて、主のお望みのままに」


「わかったわ。ところで」


「なんでしょう」








「他に、何か、報告すべき事はある?」








「……」


 思わず黙ってしまった。

 心に抱えた二つの爆弾が、一瞬、ズンっと重くなった。

 天童は、まっすぐに自分の目を見据えてくる主の視線から、

 顔をそらさないよう、必死に自分を抑え込み、


「そうですね。他は特にございません」


「そう。わかったわ」


 ニコリとほほ笑んで、


「飛び級試験、がんばりなさい」




 ★




 時計塔を出て、しばらく歩いた所で、


「作楽」


 校門にもたれかかっている作楽の姿を発見した。


「長くなるかもしれないから、待たなくていいと言っただろう」


 天童が近づくと、心底嬉しそうな笑顔で迎え入れ、


「どうせ帰ってもヒマなだけやもん。なぁ、なんか食べて帰らへん?」


「ああ、どこに行く?」


「すぐ近くにファミレスあるやん? あそこにしよ」


「……」


 一瞬だけ、嫌な予想に苛まれたが、


「どしたん?」


 穿うがち過ぎだとすぐに自分を諫め、


「いや、なんでもない」


 平然を装い、並んで歩く。

 ファミレスは、通りの向こうにある。

 横断歩道の信号待ちをしている時、


「なんかなぁ」


 作楽が、唐突に、


「待っとる間、あのクソガキ……佐々波が、話しかけてきてなぁ」


 その言葉を聞いた瞬間、

 天童の額に、ぶわぁっと、汗が浮かんだ。


「久寿男……なんか、最近、中学生のギャルと仲ええんやって?」


(あのクソボケ性悪女ぁ……)


 阿修羅・般若の顔になり、

 ギリギリと奥歯をかみしめる天童。



「どうなん?」



 硬いトゲがある言葉を受けて、

 天童は、動揺する心を、どうにか必死に押さえつけて、


「な、仲がいいというのは御幣があるな」


 天童は、鋼の精神力で、顔面がひきつりそうになるのも抑え込み、

 はためにはフラットなムーブで、


「面倒事に巻き込まれた、というのが正解だ。……ちなみに、あの『明日、俺に殺される予定のクソボケ』からは、どこまで聞いている?」


「んー、久寿男がギャルの中学生と仲良ぉしとるって事以外はなんも」


「なるほど……なるほど……」



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― 新着の感想 ―
[一言] 無いとは思いますが、佐々波=天上の主な 気がしなくもないですね。天童が好きで 誘惑もすれば困らせたりもする佐々波と、 天童をやたらと優遇して評価もするが 「作楽を処分したいと言ったら?」と …
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