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クズニートの成り上がり~『剣の翼』を手に入れ、『ボーナスダンジョン級チート訓練所』で最強になったクズ男の至高堕天録~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
第二部『堕ちていく、クズ男』

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18話 過保護。


 18話 過保護。


「……まあ、普通は、エンジェルコントロールを搭載していると思うわな。でも、残念、魔心臓でしたぁ」


 ――ケロっとした表情。

 『完全に再生』している天童の右腕と左足。


 それを確認すると、

 真っ二つになっている主天使は、


「ま、まさか……『損傷フェイク』を使ってくるとは……いぶし銀だな……」


 ぼそぼそと、そんなことをつぶやいた。


 天童の右腕は、再生しているだけではなく、

 なんともドス黒く膨れ上がり、

 無数の硬いトゲのようなものがついている。


 ――なんとも、凶悪なシルエット。


 先ほど、天童は、渾身の力でふりきった。

 『魔王の腕』で握りしめた、出力最大のエンジンブレードを。

 その結果、

 主天使の体はヘルボックスと同じように、真っ二つになったのだった。


「バロールバンプに魔心臓……『今の私のビルド』にとっては相性が悪い闇属性アビリティばかり。運が悪い。というより、貴様の運がいいのか。……しかし、なんだ、そのラインナップは。まさか、貴様、厨二か? 剣翼の登録名も酷かったし、カラーリングもクソダサいし」


「……ぐうの音も出ないとはまさにこの事だな。佐々波に褒められすぎて、最近、ちょっと気に入り出していたから、反論の言葉もない」


「趣味は悪いが……戦闘センスは抜群で、かつ、豪運持ちか。なるほど、これ以上ない逸材だな」


 最後に、ニっとほほ笑むと、




「しかし、まさか、高校生に負けるとは思わなかった……貴様……美しいぞ」




 いつものミッションや演習と同じく、

 倒された天使の体は、

 輝く粒子となって、空へと戻っていった。



「……ふぅ」



 天童は、溜息をつきながら、


(実際、俺って、運がいいよなぁ……こういう絶体絶命の時に限って、毎回のように、幸運が味方してくれる。佐々波がトランクに魔心臓をつけていなければ、騙し切れずに殺されていた可能性が高い。なんか、すでに神の加護がついているって感じだ……)


 渋い顔で、遠くを見つめつつ、


(いや、加護っていうか、ここまでくると、もはや『過保護』だな……はっ。嗤えねぇ。だとすれば、生まれた時から、今までずっと過保護に育てられてきたって事になっちまう。そのダサさは、トランクの名前やカラーリングどころの騒ぎじゃねぇ)


 ごちゃごちゃと、多少『興奮がいきすぎている頭』でモノを考えていると、




「あ、のさ……」




 美奈が、おそるおそるといった感じで話しかけてきた。


「あん?」


「これ……なに? 科学技術の粋を極めたショー?」


「ああ、もちろん、そうだとも。お楽しみいただけたかな」


「ふざけんな!」


「……情緒不安定かよ。俺はお前の推察を肯定したんだが?」


「説明してよ! なに、これ! マジでわかんないんだけど!」


「さっきのヤツは悪い天使で、お前らを殺そうとしていたから、正義の味方である俺が助けてやった……とでも言えば満足か?」


「……どっちかって言ったら、あんたの方が、悪者っぽかったんだけど……色合いとかフォルム的に」


「ははっ……だよなぁ。でも、デビルマンの例もあるように、悪者カラーだから人間の敵とは限らな……ああ、ダメだな。デビルマンは最終的に人間を皆殺しにしてるわ。例を間違えたな。失敗、失敗」


「………………説明する気はないってこと?」


「良い読みだ。そのとおり。なんせ、無駄だからな。まもなく『記憶を消されるお前ら』に手間暇をかけて説明するのは、あまりにも合理的じゃない」


 天童は天を見上げる。

 すでに『黒い塊』がグルグルと渦を巻いていた。


 ――そろそろ『掃除用の部隊』がくる。

 メン・イン・ブ〇ックのアレ的な部隊。


 ミッションの後始末は、『上』の仕事。

 黙って任せておけばいい。


「記憶を消すって……こんな衝撃的な事、忘れる訳ないじゃん」


「上は、その気になれば『命より大事なテメェのガキ』の事まで、奇麗サッパリ忘れさせることも出来るんだ。『たかが天使が殺し合っている程度の記憶』を消すくらい訳ねぇよ」


「……」


「なんだよ、その目は」


 美奈は、少しだけ言い淀んでから、

 伏目がちに、



「……あり、がと」



 小声で、感謝の意を表した。


「助けてくれて……ありがとう」


 それに対し、天童が、



(……感謝ねぇ……いらんなぁ)



 などと思っていると、

 美奈に続くように、他の五人も、ポツポツと、礼の言葉を述べた。


 よくある『言わなければいけない』感じの感謝ではなく、

 『言わずにはいられない』という『想い』があふれた本気の感謝。


「あんたのおかげで死なずにすんだ……ありがとう……忘れる前に、言っておく」


 最後に、そう締めた美奈。

 そんな彼女の顔から視線をそらしながら、

 天童は、フラットな顔で、


(そもそも、俺に感謝するのは御門違いも甚だしいんだが……まあ、修正したところで、どうせ忘れちまうんだから、もう、どうでもいいけどな)



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― 新着の感想 ―
[一言] 「すげぇレベルの高い戦闘でしか使えねぇ」 魔心臓と、瞬間火力を補うバロールバンプを 使ったんですね。ラストローズ・ダークマターは 常時発動型だと思われるので、フル活用した事に なるわけですね…
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