15話 『天童久寿男』VS『主天使』。
15話 『天童久寿男』VS『主天使』。
「デビルメアトランク、起動!!」
即座に、剣翼を起動させる。
そして、そのまま、一瞬のうちにビームソードを取り出し、
飛翔しながら振りかぶる!!
「――おらよっ、と」
言いながら、天童は、ヘルボックスを真っ二つにしてみせた。
正中線に沿って真っ二つに裂かれたオートマトンは、
キッチリ一秒後、パカっと左右に分かれて、
地に落ちると、ゴロンゴロンと転がってから、
ドゴォンと豪快に爆発した。
――『その、あまりにも異質がすぎる光景』を、呆然とみつめているギャル6人。
自然と『彼女たちの瞳』は、天童という超人を、自分たちの『世界の中心』に据える。
彼女たちの視線を一身に背負いながら、
レーザーブレードを手の中でまわしつつ、
(これは……面倒くせぇぞ。せめて、バディとして、佐々波をつけてくんねぇかな。ソロで6人を守りながらの『SS2』ミッションは無理だって)
などと考えていると、
「ね……ぇ………………ねぇ!!」
呆けているギャル達の中で『妙に強い胆力』を放つ、
おそらくは『常時グループの中心人物』であろう背の高いギャル、
――『美奈』が、気力を振り絞って、声を出す。
「な、なに……これ……」
問われて、天童は、
軽くウザそうに、
そっと視線を向けて、
「さあ、なんだろうな。おら、わがんね。誰か知っていたら教えてくれ」
「ふ、ふざけんな! 何、今の! あんた、なんか、剣みたいなので……え、なに、あんた! 誰?! なんなの?!」
そこで、天童は、
「……ん? 高出力反応……どこだ……」
キーキー喚く美奈から視線をそらし、
上空を見上げると、
「っっ?! ど、どぅぇぇ……しゅ、主天使(レベル6)ぃいいいい? ……ぅ、うそぉん……」
『敵の戦力レベル』が『異常に高く設定』されている『選抜戦』。
『そんな地獄』でも『絶対』に出てこない、
『中位天使最強』の階級『主天使(レベル6)』。
(いやいやいや……ここでの主天使は流石にダメだろ……何考えてんだ。って、しかも、駆っている剣翼が『ゴリラ脳筋のドラゴンホーク』……それも火力的には最上のレベルナインかよ。ふざけんな。このコスト差で、更にガツンと火力に差をつけられたりしたら、正直、話にならんぞ。一瞬で溶かされる)
戸惑っていると、主天使は、ギャル六人に向けて、
躊躇なく、フルパレードゼタキャノンを放ってきた。
超威力かつ超広範囲のビーム兵器。
「フルゼタぁぁ?!! アホかぁああ!!」
即座にフィールドの出力を上げて、両手を天に掲げ、
「Σフィールド、展開!!」
最大出力で広範囲をカバーできるバリアを張るが、
「くぉお……重いぃい……ぐぬぅう……」
超出力エネルギーキャノンの圧力に押され、指がミシミシと音を立てる。
すぐに、二本ほどへし折れた。
三本目もほどなくしてブチ折れる。
「痛ぇ……クソがぁ……ぬぁああ!」
どうにか耐えきったが、最終的に、全ての指がバキバキにへし折れた。
――凶悪な痛みを覚えたが、指だけならば、ほんの数秒で『動かせるレベル』にまで回復する。
再生装置は偉大なり。
「――脆くもなく、硬くもなく。汎用の極振り……といった所か。貴様……『待ちタイプ』だな。あまり好きなスタイルじゃないな。地味なのは嫌いだ。美しくない」
スタっと、軽やかに着地しながら、
主天使は、厳かな態度で、
「しかし、まあ、反応は悪くない……さて、剣の腕はどうかな」
そんなことを言いながら、レーザーブレードを取り出しつつ、ゆっくりと近づいてくる。
ある程度、距離が近づいたところで、
主天使は、天童に向けて、クイクイと剣先を振った。
その態度と所作から、『剣で応じなさい』と命じられていることは理解できた。
が、
(応じるべきか……否か……)
『主天使』にとっては『ただの試験』だが、
天童からすれば、現状は『ガッツリとした命の削り合い』でしかない。
『武器指定』に応えるかどうか、
それは、気概・マナー・『暗黙の了解』に準じるか否かという領域。
天童は、一瞬、
『カウンターで、散弾系の武装をゼロ距離で叩き込んでやろうか』と考えた、
が、
(ここまでコスト差が開いていると、まともな武装を使われたらマジで話にならねぇ。ぶっちゃけ『DSN』を使われたら、その時点で詰み。しかし現状、使っている気配はなし)
※ ドラゴン・スイート・ナイトメア:通称DSN。
『特定の属性』や『一定以上のダメージ』を無効化するフィールド。




