4話 一流童貞のメソッド。
新作をはじめました!
『最初の村周辺でレベル99にしてみた』をマジの人生でやってみた~最強になった俺は、実力を隠して魔術学院で教師をしたり、悪役令嬢を調教したり、好き放題、やり放題~
下から飛べます。
応援いただけたら嬉しいです(*´▽`*)
4話 一流童貞のメソッド。
「色々とやってもらったお返しに、何かお礼がしたいんです。明日とか、空いていませんか?」
「気にしなくていい。部隊長として、隊員に対し『最低限の義務』を果たしただけだ」
「で、でも、嬉しかったから、お返しがしたいんです。そ、そうだ。欲しいものとか、ありませんか? なんでも言ってください。『手作り料理が食べたい』でも『マフラーを編んでほしい』でも、なんでも叶えてあげられますよ」
ド直球で、家庭的アピールをかましてからの、
「……か、彼女がほしい……とかも、叶えてあげられちゃうかもですよ?」
上目使いでトドメをさしてくる。
そこらの三流童貞なら、一撃で殺されていただろう。
しかし、
天童は三下ではない。
彼は『一流』の童貞。
ゆえに、
「今のところ、天使のイス以外に欲しいものはない。本当に、一番欲しいものは、絶対に手に入らないしな」
そう言い捨てる。
歪みもよどみもない。
「……い、一番欲しいものってなんですか? 真実の愛、とか? それなら、あたしが――」
「母親の命だ」
「……はい?」
「なんなら、俺の命と引き換えでもいいんだが、どうやら、死者蘇生だけは、どうあがいても不可能らしい。ふざけた話だ」
「……」
「さて……そろそろ開戦二分前だ。無駄なおしゃべりはここまで。出撃準備だ」
★
作戦開始から五分後。
あっけないほど鮮やかに、敵エースの『隔離』に成功。
(佐々波は本当に優秀だな。権天使を相手に、あれほど完璧に対処できるヤツは、『俺』を除けば、他には一人もいない。戦闘でも天才的。……本当に、性格さえまともだったらなぁ)
佐々波の活躍のおかげで、完璧なタイマンに持ち込んだ天童。
その彼が駆る専用剣翼を見て、敵エースの力天使は、チッと舌を打った。
(このガキの専用機、本当にレベルワンか? 信じられん。どんな技術士が組んだんだ。いくらなんでも、高性能すぎるだろ。ふざけやがって)
『視認するだけでも大凡が理解できる』のだから、
一当たりすれば、相手の剣翼の性能は、ほぼ完璧に理解できる。
(まあ、しかし、とはいえ、所詮は高校生のガキ。タイマンで俺が負けるって未来はありえねぇ)
互いに、回避を挟みながら距離を測っている途中、天童が、
「先輩、いかがでしょうか。ここは後輩に勝ちを譲っておくというのは」
「残念だが、今日の俺には、『部隊長を三人殺せ』というエクストラオーダーが発令されている。俺はさっさと主天使(レベル6)になって、この、つまんねぇ御遊びに付き合うのをやめたいんだ。というわけで、後輩……俺の出世のために、死ね」
「無理な相談ですね」
「てめぇ、噂の戦場狂いだろ? 死にたがりのキ○ガイに相応しい、ズッタズタな『美しい最後』にしてやるから、素直に堕ちとけや。あぁ?」
(殺意MAXのパターンか。少しでもビビったら押し切られる。心を切り替えろ)
演習に出ている天使には二パターンいる。
至極冷静に『戦い』という仕事を綽々とこなす勤勉タイプと、この力天使のような轟々と熱をふりまく殺意旺盛なタイプ。
(功を焦りがちな殺意型を叩くには、ビビらず踏み込むのが肝心。――あぁ、死ぬの怖ぇ。死ぬのイヤだ。絶対に死にたくない……だからこそ、前に出ろ!! 胆力で負けるな! 心を殺して、嗤ってみせろ!)
(このガキ、マジで戦場に狂っていやがる。殺意のオーラを出しまくっている俺の懐に、笑いながら突撃してくるとか、頭おかしいぜ)
天童は、剣翼を煌かせて、力天使の懐に飛び込もうとする。
――この力天使は、速度重視ゆえに装甲が脆い零色タイプ。
近距離を保って、足を止める武装を撃たせてしまえば、勝利は確定。
「チョロチョロすんな、ガキぃい!」
(相当に警戒心が強いな。すでに、二度ほど、着地して見せたというのに、ゲロビもメガバズも撃ってきやがらねぇ。殺意は旺盛だが慎重なタイプか。確定ヒット以外では撃ってこないな。さすがに、力天使級の機動特化が相手じゃあ、足を止めてくれない限り、攻撃なんざ当たらねぇ)
足の止まらない『バラまくタイプのバルカン』と、オールレンジのリモコン兵器を駆使して『スキ』を作らず堅実に削ろうとしてくる力天使を見て、天童は、
(戦術変更。シールドバッシュで、防御をこじ開ける)




