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クズニートの成り上がり~『剣の翼』を手に入れ、『ボーナスダンジョン級チート訓練所』で最強になったクズ男の至高堕天録~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
転章「部下殺しのクズ男」

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3話 教導。


 3話 教導。


「仮に俺とお前がタイマンすれば、お前が俺を見つけて、レティクルに収め、引き金をひいて、弾かれた丸が、俺の体に届くまでに、俺は、お前を十七回殺せる」


「うあぁ、流石です」


「……だから、出来るだけ『自身の運動スペック』に合う『最適化』だけはしておいた方がいい」


 天童は、淡々と言いながらも、

 『高瀬のおべっか』に対し、『抑えきれない面倒くさそうな顔』をした。


(ド直球の慇懃無礼もここまでくるとムカつきを通り越して、呆れてしまう。つぅか、こいつ、褒めるのヘタすぎ。裏が透けて見え過ぎている)


 高瀬のおべっかは、決してヘタではない。

 ただ、天童は、過去のトラウマから『自分に対する評価』が低すぎるので、

 高瀬の言動が『通常以上』に『過剰』に思えてしまうだけの話。


(おそらく、プライドが高いんだろう。ホステスにはなれないな。なりたかないかもしれないが)


 きちんと注意すべきか悩んだが、


(まあ、どうでもいい。こいつが、誰に、どう嫌われようが知ったことじゃない)


 闘いに関する事だけに集中しようと決め、


「高瀬二等兵。『ノータッチ上等で戦場にくる』ほどプログラミングが苦手でありながら、ウチに配属されたって事は、お前、運動神経はいい方なんだろ?」


「シミュレータの戦闘技能査定ではA+をいただきました」


(A+? ……それだけの力があれば、新兵戦で目立つ活躍をしていてもおかしくはない。だが、まったく印象に残っていないということは……こいつ、まさか『俺と同じタイプ』か?)


 などと、天童がいぶかしんでいると、

 ちょうど、高瀬が心の中で、


(――あたしは生き残る。この男を、とことんまで利用して、必ず天使になって、絶対にいい男を捕まえるんだ)


 彼女が、『そんなことを考えている』と『明確に理解できた』というワケではないが、

 しかし、彼女の雰囲気や、ここまでの流れから鑑みて、

 彼女が『スーパー利己主義腹黒タイプ』だろうと推察した天童は、

 しかし、


(まあ、それなら、それでも別に構わん)


 と、おおざっぱな感想を抱いた。


(実際、死にたがりの方が困るからな。『損耗率0』は、俺の挙げた成績の中でも最も大きな功績。ぶっちゃけ、自分でも、『なんで誰も死なねぇんだ』と不思議に思うくらいの、とんでもない成績だ。確かに、毎回、部下のフォローはしているが、これまでに一人も死んでいないのは、実際、ただの運でしかない)


 すべてが良いように転がって、

 たまたま、完璧な結果に落ち着いた。

 それは事実。


 しかし、ただの奇跡ではない。


 確かに、損耗率0という数字は偶然。

 間違いなく、奇跡の産物。

 だが『最善』を尽くさなければたどり着けなかった結果であることも事実。

 ――だから、


(ただの運……だが、ここまできたら、石にかじりついてでも、この成績を保ち続けてやる。この記録があるからこその異例な昇進速度。最短距離で将官に辿りつくためには必須の記録。絶対に失う訳にはいかない)


 天童は、常に所持している自前のパッドタイプ端末を使い、パネルタッチでスススッと、『空中ディスプレイにGADモードで表示されている一型のCPU』を改良していく。


 索敵や移動周りの贅肉を落とし、FCSの性能を遠距離のサポートタイプになるよう丁寧に弄る。


 オールレンジ兵器の補正値を上げ、スナイプシステムを大幅に強化。

 あまりにも視覚的・感覚的な操作性なので、

 プログラミングをしているというより、

 妙なパズルをしているようにしか見えない。


「高瀬。どうやらお前は、新人にしては珍しく、『本質の理解』に至っているようだが、一応言っておく」

「? なんでしょう?」


「多少、生まれつき戦闘能力が高くても、量産の『一型』はハードスペックがクソすぎて、どんな処置を施そうが、高コストの剣翼を駆る天使が相手になると、中近距離でまともな戦闘はできん。敵が凶悪な銃口補正を組んだ武器を使ってきた場合によける手段がなく、精神攻撃系をくらった時に抜ける方法もない。敵のコンボをカットする兵装も皆無。大富豪で例えれば、革命なしのルールでやってんのに、手札に五以下のカードしかないようなものだ」

「手も足も出ませんね」


「だから、曹長に上がって、特殊回避つきの『二改Ⅲ型』が支給されるまでは、後方支援に徹してもらう。いいな?」

「了解です」


 そこで、


「あ、あの、天童大佐」


 ようやく、高瀬は本題に入る。

 高瀬の本音は非常にシンプル。


 ぶっちゃけ、作楽の支援がうまくできようがどうしようがどうでもいいし、

 今しがた教わった事も、

 実は、『座学の成績も、ぶっちぎりの一位』だったので、

 最初から把握していた。


 『かわいげ』を押し付けようと『わからないふり』をしているだけで、

 ――『生き残り方』なら知っている。



「大佐はすごいですね。本当に、尊敬します。いつも、威風堂々としていて、頭もすごくよくて、かっこよくて、素敵で……ぁ、いや、えっと、何言ってんだろ、あたし」


 わたわたして見せてから、


「あの、えっと、色々とやってもらったお返しに、何かお礼がしたいんです。明日とか、空いていませんか?」



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