信じる
「えっ…なっ何?地震?クリスタルが…それより彼は大丈夫なの?」
彼女は周りを見渡した自分の安全よりも彼の身の安全が何より大事だった。
「よかった…地震が起きる前にきっと帰ったの…最後にちゃんとお別れを言いたかったけど地震に巻き込まれなくて良かったの」
見渡す限りでは彼の姿はなく彼の安全を確認した彼女は想った。
例えクリスタルが壊れて出れたとしてもこの崩壊寸前の洞窟からは出ることはできないだろうとそう想ってしまった。クリスタルが無事でも彼がここに会いにきてくれることも不可能だと想ってしまった。どうなっても生き続ける意味をなくしてしまったのだ。彼女は考えるのをやめた。すると身体が暗い空間に落ちていくそんな感覚の中にいた。
「……ざけ…な」
かすかに何か聞こえた気がした。しかし、彼女には関係ない なぜならやめたからだ。考えるのを生きるのをやめたからだ。
「……ざけるな。それでいいのかよ!君が思い続けた最後はこれでいいのかよ」
今度はしっかりと聞こえた。
「最後の最後でやっと声が聞こえたの…遅いの…」
彼女は落ち行く空間の中で呆れるように想った。
「思い残すことやりたいことは無いのかよ」
初めて聞くその声は暖かくどこか焦ってるように感じた。
「思い残したこと…」
彼女は気づいていた確かに彼の姿は無かった。しかし無事に洞窟を出れたとは限らないこと
「彼が無事に帰れたか知りたい…できるなら彼ともっと話したり遊んだり触れてみたい…でも、もうそれは……」
「諦めるな!」
初めて聞く暖かい声が空間に響き渡る。
「君の今までの努力を信じろ!一人で頑張ってきた自分を信じろ!自分で自分を信じられなきゃ何も始まらないだろ」
彼の声が想いが身体に心に染み渡る。
「自分を信じる…」
そう想った彼女はその想いに動かされた。やめることをやめさせられた。
「今までの私を信じて今はここから出たい。例え意味がなくても今までの私の頑張りまで意味のないものにしたく無いの。それで彼に会ってありがとうって言いたいの」
彼女は落ち行く空間の中で必死に上に上にもがき続けた。やがて自分がいたクリスタルまでたどり着いたクリスタルには亀裂が入っており木の棒のようなものが刺さっていた。
「だめ…やっぱりこのクリスタルは砕けてないの」
彼女の弱気な想いが漏れた時またあの声が聞こえた。
「君の意思はそんなものじゃないだろ。一人がだめでも二人ならきっと砕ける俺を信じて自分も信じろ」
「うん、分かった。でもあなたは誰?何で助けてくれるの?」
「俺は13番目の魔法使い。君を弟子にしに来た。今は時間がない終わったら全部説明するだから信じてくれ」
彼の声は暖かくどこか焦っていた。しかし不思議と不安な気持ちは無かった。
「うん、分かった。どうすればいい?」
「俺の合図を出すからその合図に合わせて思い切りぶん殴れ。」
「…それだけでいいの?」
「いや、それだけじゃだめだ!想うことが大切だ。絶対諦めるな想い信じろ」
「分かった」
洞窟は今もなを揺れ続いており天井は今にも崩れ落ちてきそうなほど亀裂が入っている。
「よし、時間が無い行くぞ。せーの」
二人は大きく息を吸って右の拳を力強く亀裂に放った。
「砕けろ」
「砕けろ」
………ビキッ…ピッミシ…ミシミシ…キ……パッリーン
砕けゆくクリスタルの中強く握っていた拳は自然と力が抜け放たれた右手は暖かい何かに触れ力強く引っ張られた。
「よく頑張ったそれでこそ俺の弟子だ」
薄れゆく意識の中暖かい光が身体全体を包み込んだ。それはまるで魔法のような幻想的な空間が広がっていた。
「本当に魔法使いみたいなの。夢ならどうか覚めないでこのまま彼に会いに行き…」
そこで彼女の意識は途切れた。
ども、モブです。
はい、ようやくプロローグがおわりました。
ここから物語が始まっていきますので引き続きよろしくお願いします。