想い
それは彼が立ち止まった時から始まっていた。
杖で地面を削り続けられ描いたものはフロア全体を大きな円で囲い中央に向かいながら複数の円と文字をところどころに散りばめて描けれていた。中央に到達し最後の文字を書き終えるとその円は無数の光を放ち輝き始めた。
「これで約束を果たせる。もう少し待ってて今このクリスタルを砕くから」
杖を振りクリスタルに向けると円から放たれた複数の光が彼女のクリスタルに向かって一直線に集束する。
……ピキッ
ーーーーーその頃彼女はーーーーー
「はぁ〜…… 分かっていたの。いくら考えてもいくら思っても彼や君達は反応してくれないの。それでも想い続けないと行けない気がして考え続けないといつか自分が消えてしまう気がしてたの…」
彼女の心は葛藤していた。
このまま何も想わなければ名前や記憶と同じように自分自身も消えて楽になれるのかもしれない。しかし、心のどこかでは消えたくないと想い自分を維持するために心が油断しないようにいつも誰かを作り続け誰もいないクリスタルで誰かを想い描くことで自分を維持してきたのだ。
「消えて楽になろと思ったこともあったの。」
「でもそんな時に彼が会いにきてくれたの。クリスタルを砕こうとハンマーで叩いたり近くまで登ってきてくれたり変な絵や踊りで笑わしてくれたり今でも鮮明にに覚えているの」
彼がいたから彼女は心を維持することができていたのだ。
「あぁ、あなたと話してみたいの。こんなクリスタルなんて砕けて無くなってくれればいいの…」
…ピキッ………ピッ…キ…ピキピキッ…ビキッ
ーーーーーその頃彼はーーーーー
「クソ…俺の想いだけじゃ足りないかせめて彼女に想いを伝えられたら…」
彼を囲う円の光がだんだんと弱くなり始めている。彼は胸ポケットから紙を取り出し自分の足元に落とした。
『飛べ!』
彼がそう唱えると紙から風が吹き荒れ体を浮かしクリスタルに勢いよく吹き飛ぶ。
「この想い届け !!」
叫びながらクリスタルに吹き飛んだ彼は杖の底をクリスタルに向け突き刺した。
それは偶然であった。彼が想いを願った時彼女もまた想ったのだ『クリスタルよ砕けろ!』と
彼女と彼の想いが揃った瞬間だった。
唐突にフロアは揺れ出しクリスタルは突き出した杖が見事に刺さり亀裂が入る。
ども、モブです。1日遅れてしまいましたが今週分はここまで