もう一人の存在
「紹介するの。彼は……名前は知らないだけど毎日私に会いに来てくれる人なの。」
「彼ともかれこれ長い付き合いになるが今だに話したことがないの。彼のことも思い出せないけど彼の中に私がいるのであればこれほど幸せなことはないの。」
彼の話をする彼女の声もまた悲しげに思えた。
クリスタルの前に現れた彼はポーチから紙を取り出し杖で地面を削り何かを描き始めていた。
「今日はお絵かきの日なの。前来た時も描いてたけど結局何描いてるか全然分からなかったの。」
「今日こそは当ててみせるの。」
彼女の想いが先程とは変わりやる気に満ち溢れている。
そんな彼女の想いもつゆ知らず彼はフロア全体を使い描き続けていた。
「ん〜なんだろう…大きな丸の中に小さい丸がいくつもあって変なウネウネした線がたくさん並んでいるの…」
数時間がたち彼女が飽きて諦め始めたころ彼が立ち止まった。
「あっやっと終わったの。最初から最後まで見ていたけど結局何なのか全然分からなかったの」
「さぁ、答えを教えて欲しいの………て言っても彼には伝わらないの。」
彼女の想いがまた悲しげに沈み始めてるころクリスタルの外では彼女が予想もできないことが起きていたのだ。
ども、モブです。
短いですが来週も頑張っていきます!