プロローグ 2
『お前、またケンカしたのか?』
『少しぐらい周りに会わせろよ』
『今年もコンクールに出ないつもりか?』
『お前だって困るだろう』
『早く伴奏者を決めろ永峰』
「……クソッ!」
イライラする
集中できない
勝手なことばかり言いやがって…!
こういう日は練習にならない
早めに切り上げよう
「…うっとおしい」
自習室の周りに人だかりができている
こいつらは暇なのか?
扉を開けると人が集まってきた
「あ…あの!オレ…ファンで…」
「うざい」
本当に邪魔だ
…けど久しぶりだな、話しかけてきた奴は
窓を見ると、桜が舞っていた
ああ…もう新入生が入ってくる季節か
「…ん?」
ストラップがない
どこかに落としたか?
…仕方ない…探そう
思ったより遅くなったな
まぁ見つかってよかった
♪~♪~
「……」
ピアノの音がする
こんな時間まで練習とは熱心だな
♪~♪~
この部屋か?それにしても…
♪~♪~
「………!」
とても美しい音だ
繊細だが壮大で…まるで氷上にいるような…!
一目惚れした
いやその言い回しはおかしいのかもしれないが
俺はこの音が好きだ
もしも…この音と一緒に演奏できたなら…!
気づいた時にはその部屋の扉を開けていた
…と、音が止んだ
「俺の伴奏者になってくれ!」