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第四話 恐怖
恐ろしい。今更そんなことを思った。銃の威力が、じゃない。いや、まあ銃の威力も怖い。本当に恐ろしいのはこいつらの執念だ。銃で撃たれて、傷を負ってもおれをつかみ、あいつに勝たせようとしてくる。まるで命令に従い続ける機械だ。機械の動きを止めるのは簡単じゃない。
「おらぁ!」
気がついたらナイフを持ったあいつが前にいた。殺られる、と判断した頭が右腕で顔の前を覆う。
「まず一本だ 頑張れよぉ」
何が起きたか分かったときにはもう目の前に血が滝のように流れていた。痛いが傷口を見なければ大丈夫だ。自分はごまかせる。右腕は使い物にならない。しょうがない。銃を左手に持ち替えようとした。が、銃がない。
バン
「は?」
気づいたら右足が痛かった。これで体半分使えない。やっぱり鈍ってる。前は戦っているときに考えごとなんてしなかったはずだ。
「また、あの日の繰り返しか」
「は?」
突然すぎて何を言っているのか頭が理解できていない。
「お前を殺したあの」
ここまで聞いたときにはもう体が動いていた。もうどうとでもなれ。体がどうなっても、あいつさえ黙らせれれば、いい。無理やり足を動かし、一気に近づく。そして左足をあいつの横腹に思いっきり当てる。
攻撃は最大の防御。その言葉、信じてみよう。




