第一話 最新観光スポット
散々飲んだ皆を美菜さんとなんとか介護した。「まさかここまでとは・・・」と驚いていた。まあしばらくは飲もうなんて言わないだろう。いや、言わないでくれ。
徐々に暑くなってきた5月。橋本爺さんが、
「なあ、旅行に行かねえか?」
こう言い出した。
「おお、いいなあ 最近行ってないしなあ」
「・・・旅行?」
美菜さんとおれの新入りコンビが首を傾げる。
「ああ、時々行ってたんだよ 金もかからないし」
「旅行かあ・・・最後に行ったのいつだったか・・・」
生きてた頃はほとんど行かなかった。連れていってもらえなかったと言うべきか。
「じゃあ行くってことでいいな?」
「ああ、いいよ」
「はい」
おれに続いて美菜さんも答える。
「よし、じゃあどこに行く?」
「そりゃあUSJとか・・・」
「エベレストはどうだ?」
「いや、マチュピチュがいいだろ」
忘れてた。老人会の旅行だった。USJなんか行くわけない。
「屋久島でのんびりはどうだ?」
「ヨーロッパの方に行ってみたいねえ」
おれが半分失望している間も、話し合いは続いている。
「で、本命は?」
と、橋本爺さんが聞くと、口を揃えて、
「宇宙!」
と言う。おおそうか、宇宙か。いいところ・・・じゃないな。うん、生身だったら即死レベルだぞ?
「なに言って・・・?」
死んでからいろいろあり得ないことがあり、大分慣れてきたがさすがに宇宙は無理だ。いや、慣れたらダメだ。
「大丈夫だ!おれらは不死身だ!」
正確にはもう死んでるけどな。
・・・旅行先は宇宙に決定だろうな。この流れは。




