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裏切りの大罪

『ここが私の部屋だ。』

そこは1階建ての割と広い家だった。中心に机、そして椅子が2つずつ向き合って置いてあった。結己とセツナは隣に座り向かい合い中年男性は座った。

『私の名前はユース=アルテリト。』

男はそう言うと

『俺は結己。』

続けて

『私はセツナよ。よろしく。』

するとユースが話を進める。

『さて、自己紹介はこの程度でいいだろう。早速だがお前らはさっきの力に興味があるらしいな。』

(なーんか馴れ馴れしいのよね。コイツ。)

セツナは思う。

『単刀直入に言わせてもらうとこの力はお前らには教えられない。以上だ。帰れ。』

ユースは厳しい様子で言葉を発した。

『なんでよ!さっきついてこいって言ったのはあなたでしょ!』

セツナはユースのいきなりの意味不明な発言に奇声をあげる。

『何か気でも変わったのか?』

結己は落ち着いた様子でユースに訪ねる。

ガチャッ。ドアの開く音がした。

『師匠!頼まれてたオレンジジュース買ってきました!』

そこにはビニール袋を持っていかにも買い物返りのような少女がいた。

『あ!お客様ですか。』

するとこちらへ駆け寄ってきて

『はじめまして。私はユース師匠一番弟子のユノハナ=マットと言います。』

自己紹介を終えると彼女は笑って見せた。

セツナはすかさずユースに言う。

『あんたもう弟子がいたのね。私達はあなた2人の大切な修行に水をさす気はないわ。行くよ結己。』

結己は座ったまま動かない。するとユースに

『俺達にさっきの力を教えないのはもう弟子がいるからってこと?』

『あぁ。そういうことだ。分かったら大人しく帰ってくれ。』

軽蔑するようにユースは答えた。

『本当にそうなの?』

結己は続ける。

『じゃあなんで俺が力について知りたいって言ったときすぐについてこいって言ってくれたの?俺達とここまで来る際になにかいけないことでもあったのか?』

『出ていけ・・・』

『嫌だ。理由を言ってくれるまで絶対に出ていかない。』

結己は変わった。現実世界ならこんなに熱心になることはなかっただろう。自分でもその成長?を感じているのが分かった。

『すまない・・・』

ドタン!ユースの意味不明な発言と同時にドアがまた開いた。すると豪華な衣装に包まれた5人くらいの男女がいた。

『あ、あれは貴族!なんでこんなところに!?』

セツナは驚いた様子で言った。

『実世界人がいると言うのは本当ですか?』

貴族の1人が言った。

『はい、こちらが実世界人。まだ転生してきたばかりだと思われます。』

ユースは結己を指し答えた。

ユースの下手な態度にセツナと結己は不信に思う。

『了解した。それでは連行します。』

貴族達はそう言うと部屋に乗り込んできた。

『ちょ、ちょっとあんたたちなんなのよ!』

『邪魔ですよ。』

その一言を発すると貴族はセツナを吹き飛ばした。

(抵抗しても無駄ってことか。)

『大丈夫か!セツナ!』

結己はすかさずセツナの元へ行った。そしてセツナに紙切れのようなものを渡した。

『さぁ実世界人。大人しくこちらへ来なさい。』

結己は貴族の方へと向かう。

『ダメよ・・・。結己・・・。』

セツナは必死に声を出すも届かない。

結己は手錠を付けられた。

結己は笑顔でセツナに振り返り、

『必ず戻る。』

それだけを伝えて連行されていった。

『師・・・師匠・・・。どういうことですか?お客様を・・・。』

ユノハナは恐る恐る聞いた。

『ハッハッハッ!やっとこれで大金が手に入るぞ!俺はこれから自由だぁぁ!』

突然狂ったかのようにユースが叫んだ。ユノハナはびっくりして腰を抜かした。

(師匠のこんなところ見たことない・・・)

セツナは怒りながらも必死の思いで立って

『ユース・・・アンタって奴は!おかしいと思ったのよ。私が結己と出会ったときどこからか視線を感じた。やっぱりあなただったのね。』

『そうさ。ずっとこの機会を伺っていた!見るからに一銭も持っていない少年だから後をつけて正解だった!世界人と知ったときは心が弾むようだったよ。一か八かの賭けだったがやはりそうだった!』

ユースはもう以前のような冷静さはない。

(この異世界では実世界人は罪人と同じ。渡せば高額の金が手にはいるのは聞いてたけどまさかこんな簡単に結己が捕まってしまうとは思わなかった。)

『ユノハナ。お前もここまでだ。』

ユースはユノハナに言った。ユースのこれまで見たこともないような表情にユノハナは答える。

『は・・・はい。師匠・・・。』

(まるで洗脳、、、。)

いろいろな悔しさがセツナに募る。

するとユースは部屋を出ていった。

取り残されたセツナとユノハナ。

セツナは立った。

『セツナさん。これから私、どうしたら。』

ユノハナは泣き出す。まだ8歳くらいの少女だ。無理もないだろう。

『ひとまずこの家にいて。私も必ず戻ってくるから。』

『え?!セツナさんどこに・・・?』

『決まってるでしょ。結己を助けに行くのよ。貴族のところに!そんでもってユースも連れ戻す。』

(ユースは最初に私達に帰れと言った。それなら・・・。もうあんなミスはしない。)

『私には時間がないんだから!』






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