目の前には謎の美少女?
1月2日
昨日は宿屋で1泊をした。
眩しい朝の光が結己を照らす。
『お前さん。さっさとここから出ていってくれや。お前さんは金がないって言うから特別に泊めてやってるんだ。条件は朝の6時までだろ?ほらさっさと出ていきな。』
『厳しい宿主だなぁ。』
結己は気分が少し悪くなった。仕方なく宿屋から出ることにした。すると隣の部屋からも同じような言葉を宿主から言われている少女がいた。
宿主はこちらを睨み付けて見ている。仕方なくさっさと出ることにした。隣にはさっきの少女がいる。
『君もお金がなくてここに泊まってたの?』
元ニート同然の結己にとっては初対面の人と話すことは苦手だったはずだが異世界の雰囲気に呑まれたのか気軽に話しかけることができた。
『うん。私は一銭ももってないわよ。』
アニメのような透き通ったきれいな声に結己は驚いた。
『どうしたの?』
『いや、なんでもない、、。』
結己は照れたように返した。
『それより君は今からどうするつもりなの?』
『私は特に行きたいところもないわ。ただ異世界ライフを楽しみたいだけ。』
この人も俺と同じで当選者なのだろうか?そもそもこの異世界にいる人にはにはどうやってここに来たのだろか?
『ねぇ、聞いてる?』
少女は少し怒ったようにこちらを向いて話している。その仕草がまるでかわいい。
『あ、えーと、ごめん。少し考え事してて。もう1回言ってくれない?』
『いいよ。大したことじゃないし。』
(よくわからない子だなぁ、、。)
結己は困ったように思う。
『あなた、これから行くところでもあるの?』
『いや、特には。』
結己はさらっと答えた。
『じゃあ私と一緒に行動しない?』
『!?』
突然の勧誘に結己は驚く。
『私達このままじゃダメだと思うの。これじゃあただの異世界人。私もそこそこ暇だから似た者同士ってことで一緒に行動しようよ。』
『別にいいけど俺は俺のやりたいようにやるぞ。』
結己は断る気で言った。
『それでもいいよ。私も退屈しなくて済むし。』
なかなかしつこい彼女にしょうがなく
『じゃぁ分かったよ一緒に行動しよう。』
『やったぁー!ありがとう。』
彼女は結己に笑って見せた。それもかわいさに溢れていた。
『ところであなたの名前は何??』
『俺は結己。』
『へぇー、変わった名前だね。』
『ん?どういうこと?』
彼女は結己の発言を無視して言った。
『ちなみに私の名前はセツナ=キゾアール。気軽にセツナって呼んで。』
いかにも異世界人みたいな名前だな。そんなことを思いつつ
『よろしく!』
お互いに握手をした。結己は友達ができたようで少し嬉しかった。
するとこちらに向かってくるコンクリート独特の足音がした。
『やぁ、君たち見るからに異世界初心者って感じだねぇ。』
背が高くパーカーにフードを被った男が話かけてきた。顔は見えない。
『そうですけどなにかご用ですか?』
セツナが答えた。
『この世界について色々教えてあげるよ。』
そう言うと男はこちらに手をさしのべてきた。
『そこまでだ!』
また後ろから声がした。今度はYシャツを来た中年男性だった。中年男性は続けて
『お前誘拐者だな。』
その言葉に結己とセツナは驚いて後退りした。
『ほぅ。大正解だ。だが黙って帰るほど私は甘くはないよ。』
パーカーの男がそう言うと手に熱気のようなものが集中していった。
『【陰】の使い手か。』
そう中年男性が言うとこちらも手に同じようなことをして見せた。
『ほぅ、ここは場が悪いな。大人しく退散させてもらうとしよう。』
するとパーカーの男はその場から一瞬で消えた。
結己とセツナは唖然としている。中年男性は駆け寄ってきて
『大丈夫?怪我はなかったかい?』
と問う。結己は
『は、はい。』
それだけしか言葉に出なかった。
『では私はこれで失礼するよ。』
『ま、まってください!』
結己は反射的に言葉にした。
『さっきの熱気のようなものはなんなんですか?なぜなにもしてないのにアイツは逃げていったんですか?なぜおっさんは俺達を助けてくれたんですか?』
中年男性は立ち止まった。そしてこちらに歩いてきた
『お前この力に興味があるのか?』
結己は緊迫した空気に息を飲む。
『ついてこい。興味があるならな。』
すると男性は歩いて行った。
『わ、私も!』
セツナも大声でいっぱいいっぱいに言った。
結己はいつの間にか腰が抜けていたが素早く立って中年男性の後を追いかけた。
果たして結己の決断は正しいか否か。