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夢にまで見た異世界転生

「異世界」それはニートにとって誰もが夢見る場所である。

アニメではよく主人公の横に可愛いパートナーがいたり、主人公がチートな能力を持ったりとありがちなパターンである。


時計の長針と短針が重なった。正午。

今日は1月1日。世間ではお正月とかお年玉とかいう季語を口にしているけれど俺にとってはどうでもいい。いつも通り予約してあった深夜アニメを見てゴロゴロしている。こうは言っても俺は高校2年生。学生特許の冬休みを充実して過ごしているつもりだ。

するとスマホに電話がかかってきた。母親だ。しかたなく電話に出ることにした。

『もしもし?』

『あー、結己?今日仕事で遅くなりそうなの。悪いけどスーパーでバナナとヨーグルト買っておいてくれない?お願いしまーす。』

すると母親は電話を切った。

全く好き勝手な母親である。しかたなく結己は行くことにした。

『うぅ。寒い。』

思わず口にしてしまうほどの寒さ。こんなときはアニメに限るのに、、、。ちゃっちゃと済ませてしまおう。


帰り道。

(ヨーグルトって以外に高いんだなぁ。しっかりと金は請求させてもらおう。アニメのBlu-rayを買う金がなくなるからな。)

そんなことを思いつつ家に着いた。

ポストを見ると変なポスターが入っていた。とりあえずこたつに入ってゆっくりとそれを見ることにした。ポスターには

【夢にまで見た異世界ライフ!あなたも是非体験してみませんか?】

と大きく書かれたものだった。

『なんだこれ?こんな子供のいたずら相手にしてられるかよ。』

するとポスターには転生の仕方が書いてあった。

結己は興味が湧いたのか仕方なくやってみることにした。

【呪文を唱えましょう。ピロピロプカーンデリシャスマウンテン!と。】

とても声にするだけで恥ずかしい呪文である。結己は家のなかだが周囲に誰もいないか確めてから声にした。

『ピロピロプカーンデリシャスマウンテン。』

場が冷める。

『まぁ、なにも起こるわけないわな。こんな夢みたいな話。信じた俺がバカだった。』

すると眩しい光がポスターから出た。それに飲み込まれるように結己の姿はそこからは消えていた。


目が覚めると部屋全体が真っ白な個室にいた。

『なんだ・・・ここ!?』

結己は驚く。

『ようこそいらっしゃいました。私は異世界案内人のシャルロッテ=ビートンと申します。』

いきなり登場して喋り出したのは20歳くらいの女性だった。

『・・・』

結己は口をぽかんと開け、驚きを隠せない。

『皆あなたのような反応ばかりですよ。安心してください。それよりあなたは見事異世界転生に当選されたのです!』

(そうだ!あの変なポスターに書いてあった呪文を唱えたんだ!)

結己は状況を把握すると

『ってことはここは異世界?』

『いいえ、ここは異世界と現実世界をつなぐ世界です。私はここに来られた者を異世界や現実世界に転生させる者です。そして、あなたは現実世界から異世界に転生しにここにやってきました。』

結己は話を聞き

(本当に来られたのかよ。あんなの10分の9は嘘だと思ってたのに!)

嬉しさや不思議さが混ざりあい複雑な感情になる。

『でも10分の1は信じたのですよね?』

『え?俺今口にしてた?』

『いいえ、心を読んだのです。このような力を使うものも異世界には存在しますよ。』

シャルロッテは淡々と話した。

『それでは本題に入ります。』

突然の切り替えに結己は反射的に背筋を伸ばした。

『見事当選された結己様はこれより異世界に1年間転生され生活してもらいます。この期間結己様の好きにしてもらって構いません。異世界ではお金持ちになることもハーレムを作り上げることも努力すればなんでもできます。異世界に行って何をするかは結己様自身の自由です。』

(1年・・・)

結己は早速考え込む。

『そして異世界には【陽】と【陰】という2つの力が存在します。

でもこれについては使うも使わないも自由なので説明は省きますね。』

少し適当さみたいなものを見せたシャルロッテに結己は疑問を抱いた。

『異世界への説明は以上になりますが質問はありますでしょか?』

『え!これだけ!?』

『はい、、、?他に何かありますでしょうか?』

シャルロッテは結己の態度に不思議に思う。

『いやぁ、なんか説明が簡単だったからさ。』

結己は少し照れたように言った。

その発言にシャルロッテは小声で言った

『簡単かどうかは行ってみれば分かりますよ。』

『ん?今なんて?』

『いいえ、なんでもないです。それより結己様、現実世界にいたときよりも少しだけ生き生きしてる気がしますよ。』

確かに。異世界という響きでテンションが上がっていたのかもしれない。

『ではいってらっしゃいませ。良き1年を・・・。』

また結己は眩しい光に飲み込まれていった。



ドカァン!勢いよくコンクリートの上に放り出された。

『痛ってぇ。もう少し優しく転生させてくれよ。』

目の前を見ると大勢の人や商店街のようなものや並ぶ家の数々。

結己は心を踊らせた。

『俺は今、異世界にいるんだ。』


誰もが夢見たその場所に、また1人少年がその地に立った。


この先たくさんの出会いや悲劇が訪れることを結己はまだ知らない。



















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