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この世界の台地で  作者: あの日の僕ら
第五章 安寧ヲ乱ス者
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LII 報告

9月1日から新小説を投稿します。

この小説とは毛色が違うので、ご注意下さい。

また、更新頻度が落ちますが、これからも宜しくお願いします。

 カエデがある程度落ち着いたので、一番落ち着いているヤナギに事情を聞く。てっきり王都に居るものだとばかり思っていたのだが。


「それで、何でここに居るんだ?」

「外界からの脅威に警戒するという名目で、ルカラの兵士が担当する哨戒任務に参加させて頂いたのです。多少強引でしたが私達は少々国に貢献しているので」

「てことは兵士と一緒か。どこの部隊だ?」

「あの空挺隊です。広い範囲を監視するのは彼女らの得意分野ですからな」

「へぇ、空挺隊か」

 空挺隊とは、鳥系獣人種や翼人種等の空を飛べる人間で構成された部隊である、と記憶している。こういった特殊な部隊は異種族が多く集まるこの国特有の部隊だと言える。人員が二十年前と変わっていないのならば、確か隊長が魔族であったはずだ。


「噂をすれば、来ましたな」

 ヤナギが上を見上げ、言った。木々が擦れる音に混じって羽音が聞こえて、木陰が更に黒く塗り潰されていき、三人の人影が空から地上へと降り立った。

「精霊班、彼らは誰だ?敵対はしていないようだが」

 三人の内、真ん中に立った人物が口を開いた。

 外見は人のソレとは大きく違い、肩から先が羽毛で覆われている。足は黄色い鱗のような模様があり、細く長い。三本に別れた足指がガッチリと地面を掴んでおり、全体的に痩せているような印象を受ける。


 ハーピーと呼ばれる魔物の姿。間違いなく、魔族であろう。

 魔族というのは、理性があり、意思の疎通が可能な魔物が魔族と呼ばれる。

 もっとも、上記の定義に当てはまるが、人を襲うのを止めない者は討伐の対象になったり、そもそも魔族と定義されなかったりする。

 かなりフワフワとした曖昧な分け方だとは思うが、そもそも通常の魔物は理性など持ち合わせていない。魔族のようなイレギュラーが発生する理由もよく分かっていないのが現状だ。

 だが、大きな戦力になるのは確定している為、人間の文化を受け入れるという条件さえ飲めば、人権が与えられるそうだ。

 一応、魔族は危険だという思想の者も存在しているが、俺は理性さえあれば構わないと考えている。魔物と動物の違いすら曖昧で、魔物使い(テイマー)なんて仕事もあるのだし。


「えーっと。ハイルさん、でしたっけ?」

「…過去に会ったことがあるか?」

「ええ、二十年前に。殆ど関わりは無かったですが」

「二十年前?…済まない覚えていない。…鳥頭なモノで、な」

 ハーピーが鳥頭とは。頭部に付いているのは人の頭だと思うが。自虐ネタか何かだろうか。

「いや、待てよ。二十年?…貴殿、もしかして訪問者の一人か?」

「ええ、そうです」

「おお!カイギス様から話は聞いている。伸ばした金髪、両目の下に刺青、この情報からだとイブキ殿、だな?どうだ、当たりか?!」

「はい、当たってますよ」

 表情をコロコロと変えながらハイルが言い当てる。前に見たときは四六時中固い表情であった印象であったが、元々この性格だったのだろうか。


「ラナ。カイギス様にこの事を」

「ハイ、了解しました」

 ハイルが部下と思われる鳥系獣人種に指示を出した。その獣人種は、インコやオウムのような赤や黄色のカラフルな羽を羽ばたかせて空へと昇っていった。ハーピーと違って足は普通の人間の足であり、手首から先には羽毛が生えていない。

 彼女はラナと言うらしいが、記憶にない。二十年の間に入隊したのだろう。


「ふむ。ところで、そちらの方々はどなたで?」

 ハイルが俺の更に背後を指差した。振り返ると、どこか居心地の悪そうなリラともう一人の鳥系獣人種をじっと見ているリリが立っていた。

 …忘れていた訳ではないが、彼女らにとって未知の土地だ。声くらい掛けた方が良かったか。

「この二人は外界から拾ってきたんですよ。魔人種であったので」

「ふむ、魔人種。パッと見て皮膚色素異常タイプか。いや、獣耳?獣人種の魔人化など聞いたこともないが…」


 ******


 ハイルとの雑談をして時間を潰していると、カラフルの鳥系獣人種が空から帰って来た。どうやら竜王が呼んでいるようだ。

「私達は駐屯地へ戻るとするが、イブキ殿はどうするのだ?その魔人達のギルド登録も必要だろう」

「うーん、ヤナギ達にソレは頼もうかな。その間に俺は王城へ行く感じで」

「…ちょっと待て、精霊班は帰ってしまうのか?」

「…ヤナギ、帰れないのか?」

 ヤナギは無理矢理捩じ込んで来たとか言っていたし、仕事を終えないといけないのだろうか。

「…?帰りますよ。イブキ様も帰って来ましたし。もう必要ないです」

「そ、そうか。皆には私から通達しておく。何もないと思うが気を付けて帰還してくれ」


 歩いて森を抜け、馬車に乗り換えて草原を進んだ。イブキ達はアッサリ隊を抜けてきたが、良かったのだろうか。普通に良くないと思うのだが。

「構いませんよ。私達の目的はイブキ様を出迎えることです。その為に便乗しただけですので」

 そういうことを言っている訳ではないのだが。二十年の間に色々と貢献しているようだし、俺が口出しすることではないか。


 王都へと着き、馬車を降りた。ヤナギ達はリラとリリを連れていって貰い、俺はその足で王城へと向かう。

 兵士へ声を掛けて、以前集まった部屋へと案内された。

「お、来たね」

「遅せぇよ。まあ色々動いていたようだがなァ」

 部屋には竜王とレンが対面して話していた。他のプレイヤーの姿は無く、部屋には三人と竜王の従者しか居ない。

「まあ、取り敢えず座ってくれ。話をしよう」


 適当な席に腰掛け、竜王の話を聞く。こちらからも報復したことを伝えたいのだが、話を聞いてからでも良いか。

「全員に集まって貰おうと思ったんだけどね。シアンくんとクランクくんは問題が発生したらしく、シガル王国で待機して貰っているよ」

「問題、ですか?それは」

「詳しくは聞いていないんだけどね、細かい揉め事らしいから大丈夫だよ」

「…大丈夫なら、良かったです」

「それで、シズカくんとコヨミくんは王城に泊まっているんだ。従者に呼ばせたからすぐに来るはずだよ」


 ──コンコンッ

 扉がノックされ、二人の人間、シズカとコヨミが入ってくる。入室こそしなかったものの、兵士らしき人間が案内してきたようだ。

「やあ、お帰り」

「…フム。怪我は無さそうだな」

「では、席に着いてくれ。…イブキくん。情報を擦り合わせよう」


 竜王はヤナギ達の話で襲撃された村を兵士に調査させたこと。

 死体は村民のものを残して他の死体は一切確認出来なかったこと。

 そして、謎の魔法陣が村長宅に置かれていたこと。竜王はそれを話した。

「…以上が此方で確認出来たことだ。その魔法陣はコヨミくんが調査に当たっているが、難航しているらしい」

「あれは非常に興味深いな!この我をもってしても、効果を推測することしか出来ない。あの複雑さからして時空間系だとは思うのだが」

「死体の無いことも聞きたい。…イブキくん。何をしたんだ?」


「分かりました。この襲撃を察知した所からお話ししますね」

 俺は、アルベージ帝国帝都のギルドで『白霧の迷宮』、この台地に向けて先発隊が出発したという情報を得て帰って来たこと。

 台地の外に居た兵士数人を仕留めた後、その一人から情報を得て、既に台地の上に先発隊が侵入されているのが分かったこと。


 村民を避難させて、先発隊を皆殺しにしたこと。

 その死体は全てポーチにしまったこと。

 転移魔法陣というモノが持ち込まれていたのは知っていたので、兵士一人に使わせて使い方を知り、単身で乗り込んだこと。

 転移した先は王城で、報復の為に兵士共を殺戮していったこと。

 そこに居た他国の姫を脅し、王の居る場所まで案内させたこと。

 そして、王と魔術師の連中を倒して、書き置きを残してきたこと。


「王は生かしておきましたが、後遺症くらい残ってるんじゃないですかね。あ、転移魔法陣の片方も持って帰って来ましたよ。これが私の成果です。自分でも頑張ったと思うんですが、どうですか?」

次回は書きたかったモノが書けると思います。

楽しみです。

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