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01.プロローグ

初投稿させて頂きます。

拙い文章ではありますが、楽しんで読んで

頂けたら何よりです。

 わーーーーー、わーーーー

 カシャン! ガチャン!!


 バタッ。



 カチャン!


 ヒュッ!



 バリバリッ!!!



 …騒がしいな。


 急激な眠気と気怠さに襲われながらも、何とか意識と身体を動かそうとする。あれ、何で横になってるんだろ、こんな大変な時に寝てたら先輩に叱られる。

 青年は身体を起こそうとするも全く力が入らない。むしろ意識もろとも徐々に暗がりへと沈んでいくのが分かる。



 こんなことしてる場合じゃないんだ、早く起きない……と…。



 周りを見ようとした時、青年は気付いてしまった。自然には発生し得ない物が喉から生えていたことに。




 ……あぁ、そうか…


 俺は…




 死ぬのか…






 魔法、剣、魔物、そんな世界を人はファンタジーと呼ぶ。主にゲームなどで縦横無尽にその世界観を味わい尽くし、一度クリアしてもまたやり直したり、懐かしくなってわざわざ買いに行く人も少なくはないだろう。誰しもが魔法を使ってみたい、魔物を倒して経験値を手に入れたい、某転移魔法を現実世界で使えるようになりたい。

 そして誰もが、


『冒険をしたい』


 この世界観を堪能したい者は口々に言うだろう。



 しかしその力を自由に行使できる者がいる限り、決して争いはなくならない。例えどんな小さなものでも積み重なればやがては世界を巻き込む事象となる。


 そしてこの世界もまた例外ではなかった。



 アトランティス大陸。


 俺がこの世界に『転生』した時、伝説の如く海に沈んだりしないかビクビクしていたが沈む前に大陸が滅ぶのではないか、と生前…まぁ一度死んでるから、少なくともこの世界に来てからはずっと思っていた。


 ?


 俺自身?


 俺のこと聞きたい?



 え、聞きたくない?…まぁ話すことなんて数秒で終わるけどね。


 経歴なんて大したことはないさ。大学出て会社入って原付で通勤、事務仕事だから別に辛くもなかったし、家で毎日パソコンとゲーム、彼女はいないというかモテたこともない。


 たまに友達と飲みに行くくらいの社交性を持った凡人も凡人である。


 ただ凡人と一線を引ける唯一の違いと言えば、そう、死に方だな!全く自慢にならないだろうけど、正直これしかないんです、勘弁して下さい。

 ちょっと小腹が空いたから愛用の原付でスーパーに向かってて、十字路で信号待ちしてたんだよ。結構車が通る道なんだけど待ってたら後ろからトラックが追突、前方に吹っ飛ぶ俺、そこに車が……てな感じ。あっけない最期だったと我ながら思うけど、将来に希望があったわけでなし、別に悔いはなかった。

 しいていえばパソコンの中身を誰にも見られていないことだけを切実に祈る。




 と、まぁゲームオーバー画面が見えたはずなんだけど気付いたらさっき言ってた[アトランティス大陸]っていうタイタニックみたいな未来しか待って無さそうな世界に転生してた。この手の書籍とか読んで楽しんでた時期もあったけど、自分の身に降りかかってくるとなると洒落にならないもんだな。


 しかも赤さんからのスタートとか。親とか気まずいんだけど。でも俺みたいな奴がいるってことは他にも転生者がいるのか?そんなことを考えながらも俺はすくすく育ち、前世の記憶があったおかげで周りには天才だなんだ、ってもてはやされた。本当に恥ずかしかった。0才の時点でもう大学までの教養あるからね、自重してたけど仕方ないね。

 俺を産んでくれた家庭は貴族だったらしく、愛をもって育ててもらったと思うし感謝もしている。両親が流行病で早くに亡くなった時は本当に悲しんだけど、遺産もろもろは父親の兄が管理することになって俺は早々魔術学院に放り込まれた。おじさんは悪い人ではないし任せられる、というか俺がもらってもどうしようもないんだけど少なくとも勉強に打ち込めたから悲しみを紛らわせることが出来た。


 魔術学院はボンボンか才能がある人しか通えないみたいで、わりと爵位がどうのって偉そうな奴が多いけど、そこは日本人。絡まれたら社会で培った上っ面の愛想をいくつか並べれば目を付けられずに済んだ。それでも学生やってると友達は出来るもんで、最初は貴族ならではの長い名前を覚えられなくて苦労したけど結局覚えられなくて愛称で呼んでつるんでる連中もいた。



 この学院で学ぶことは攻撃魔法や防護魔法、歴史といった極端な内容のみ。ぶっ飛んでるように見えるけど、現状が現状だから仕方がないようだ。時代にあった教育方針ってやつなのかね。




 今は戦国時代のような感じらしい。

 らしいというのは俺がいる魔術学院とその周りの貴族街は魔法によって守られており、外部からの脅威には晒されないように出来ている。結果的に戦争を見ることも体験することもなく、良くも悪くもここまで育ったわけだ。


 それで歴史から現代までの話は長ったらしい名前の登場人物とかが邪魔して集中できなかったけど要約するとだ、


 世の中には人間、亜人、魔物、魔族、その他獣畜生といった不思議生物でいっぱい。

 当初はそれらを魔王と勇者(一国の王子という説が有望)がまとめてたらしいけど、魔王と勇者らしく殺し合いした挙句相打ちで死亡。人間含む各種族の頂点がいなくなったことでそれぞれが[王]になろうと暴れているらしい。

 しかも人間vs魔族、なんて単純な話ではなく人間同士が争うように当然魔族も互いに争ったりする。魔王と勇者ってのはどういう基準で選定されるのかを教えてもらえなかったけど、必ずその宿命を背負って生まれるらしく、種族を導く者として生まれて再び最初のvs関係が発生する、らしい。



 結論、血塗られた歴史しか存在しない異世界でした…やってらんねぇ。マジやってらんねぇ。




 ま、そんなわけで魔術師として人類に貢献して、功績が出来れば名誉と地位を授けてもらえるんだとさ。興味なかったけど一応家名が上がるみたいだし、死んだこっちの世界の両親や世話になってるおじさんに出来る恩返しなのかなって思って打ち込んだ。


 …打ち込んだんだ。



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