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GAMESHOW  作者: 自由な書き手
第六章 ~成長~
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2

 嬉しいと思ったのは何故なのか、本人は薄々気が付いていた。戦いに慣れてきたというのもある。だが一番の理由は、友達の心を打ち砕いた連中を思う存分殴れる、ということだった。

 ひたすら、殴り続ける。しかし、龍地のシールドがそれを全て防いでいく。

「なんだよ、お前も大したことねぇな!」

「……っ」

 シールドバッシュ。秀彦の攻撃は弾き返され、逆に吹き飛ばされてしまい、尻餅をつく。

 龍地は無様な姿を晒す秀彦を嘲笑いながら、左腕に力を込める。すると彼の腕が唐突に光を発し、気付けば彼の左腕に付けられている盾は一回り巨大化し、剣が一緒に刺さっていた。

 ――これが、能力の成長……いや、進化である。

「お前は自分の能力を引き出せてない! だからそんなに弱いんだよっ!」

 盾に刺さっている剣を右手で引き抜き、構える。ガタイも合わさって、プレッシャーは凄まじい。それでも、秀彦の顔に焦りは無かった。

 むしろ、笑っているようにも見える。

「そうだね、じゃあ……僕も見せることにしようか」

 秀彦の両の腕が光り、辺りに突風が吹く。風が止み、その中心に立っている彼を見て、龍地は焦った。彼の両腕が、まるで鎧のような物体に包まれているからだ。しかも、さっきまでのガントレットとは違う、近代的な雰囲気を醸し出している。

 それはまるで、機械で作られたスーツの一部のようでもあった。

「そういえば、貴方の戦う理由を聞いてませんでしたね」

 ズシャ……まるで地響きを鳴らすように一歩、秀彦が歩み寄る。その迫力に、龍地は思わず後ずさりしてしまう。だが、彼の表情は笑みが溢れている。

「戦うことに理由がいるか? 戦うことが楽しいから戦ってんだろうがっ!

俺の人生はつまらないことの連続だった……何も面白く無い。刺激が欲しかったんだ! クソみたいな俺の人生に、最高の刺激がな!

そう願って俺はこの世界に来た……。俺はここで、戦って戦って……殺しまくるんだよぉっ!」

 喋りながらも、ひたすら笑い続けている。その笑みに余裕がないことを、秀彦は察して、逆に鼻で笑い返した。一歩、一歩とじりじり歩みを進めていく。

 彼から放たれる凄まじいプレッシャーに、遂に龍地は、笑うことを止めた。

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