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GAMESHOW  作者: 自由な書き手
第五章 ~畏怖~
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3

「どうも、はじめまして」

 彼の右手には銀色の鋭く伸びた武器がある。刺突用の片手剣、レイピアと呼ばれる物だ。

「まさか辺りをテキトーにぶらついているだけで会えるなんて、凄いですね?」

 少年はヘラヘラと笑う。おもむろに剣護はミヅキの肩に手を乗せる。彼女の姿は一瞬にして漆黒の剣に姿を変え、そのままゆっくり敵へにじり寄っていく。

「おや、貴方も剣ですか。これはますます、運命を感じてしまいますね」

「……なにが目的だ」

 剣を両手を使い、前傾姿勢を取って構える。いつでも前方へ飛び出せるようにするためだ。相手は臨戦態勢の剣護を見て、鼻で笑った。

「この戦いは最後の一人になるまで終わらないんですよ? 今更目的も何も……ないでしょう!」

 ゆらり、少年は体を揺らしながらレイピアの刀身を剣護に向けて構えると、一瞬の内に間合いを詰め、刺突を開始した。

「うぉっ!?」

 ヒュン、という風切音と共にキンッ、と金属音が響く。剣護がすんでのところではじき返したのだ。

 だが、一度の攻撃で終わるはずがない。二発、三発四発と、次々と繰り出される攻撃を、ギリギリで剣護が避けていく。形勢は始めから、剣護が圧倒的不利だった。そんな彼の心情を知ってか知らずか、少年の攻撃の手は全く緩まない。

「何とか距離を……!」

「取らせると思いましたか?」

 一歩、後ろに跳ぶ彼の動きに合わせ少年が一気に間合いを詰め、攻撃を繰り出す。着地する瞬間の不安定な位置での一撃は、剣護の脇腹を貫いた。

「ぐっ、あぁぁぁっ!!?」

 叫び声にも似た悲鳴。彼が今まで敵から受けた攻撃は、全てかすり傷だった。だが、今回の一撃は、ワケが違った。

 叫び、動きが止まる。あまりの痛みにパニックになる、涙が溢れ出そうになる。足が震え、今すぐこの場で膝を付きそうになる。少年は笑みを浮かべながら、ゆっくりと刀身を引き抜いていく。

 ずる、ずるり……、永遠に続くのではないかと思われるほどの痛みが、剣護を襲い続ける。レイピアは超細身の剣であり、その一撃の攻撃力は、他の武器に比べ決して高いわけではない。しかし、身体を刃物で貫かれる。その感覚が、痛くないワケがない。

 ――俺は、こんな痛みを何度も……何も知らない相手に与えてきたのか。

 ようやく刀身が引き抜かれると、剣護は糸の切れた人形のようにその場に座り込んだ。痛みはまだ続いている。小さく不自然に空けられたその穴から、少しずつ血が流れ出ていき、服を赤く染めていった。

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