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GAMESHOW  作者: 自由な書き手
第五章 ~畏怖~
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2

「そう、なんでしょうか……?」

 ミヅキはなんとか平静を装いながら、首を傾げた。彼女の態度を不思議に思ったのか、それともその発言に呆れたのか、マホは盛大に溜息を漏らす。

「別にあんたの恋なんてどうでもいいけどさ……、答えを用意してないと、相手が可哀想よ?」

 彼女の言う相手とは、剣護のことだろう。ミヅキの頭の中で、色々な可能性がぐるぐる回る。彼は、実は自分のことを好きだったとか、好きは好きでも、家族や友達に向けるような感覚に近いものなのかとか。

 ――じゃあ、私は?

 ミヅキ自身は、彼のことをどう思っているのだろうか? 主従関係? 家族? それとも、本当に恋人のような……。

 ひとしきりマホと話し終えると、ミヅキは御礼を言って、家を後にした。頭の中は今でも、彼のことで埋め尽くされている。

 家を出てすぐ、少し離れたところで、車椅子に座っている少年を見つけた。剣護より見た目が幼く見える。その存在が何故か、妙に気になった。

「え……っ」

 自分の手首が光っている。正確に言えば、手首に付いているバングルが警報を鳴らしていた。ここは危険だと。だが、全てはもう遅かった。

 少年は車椅子から立ち上がると、ミヅキを見て不気味な笑みを浮かべた。


「なんなんだよ、一体……」

 剣護は意味がわからないまま、秀彦の家に向かっていた。少し前に彼のパートナーであるマホから連絡が入り、「もうすぐミヅキがそっちに帰るから、迎えに来なさい」と言われたのだ。何故俺が、と反論しようとしたが、ごちゃごちゃうるさいと一蹴された。その為に彼は今、タクシーで家の近くまでやってきたというわけである。

「……あれ」

 手に付けているバングルが光っている。剣護は首を傾げた。剣護と秀彦の間では、こうして知らせることの無いように設定しているはずなのだが……。そして彼は、その理由を一瞬で理解する。

 秀彦の家の傍で、戦闘が行われていた。

「ミヅキ!?」

 声を荒らげ、叫ぶ。だが、彼女は彼の方を見向きもしない。いや、その余裕が無かったのだろう。彼女の表情が歪んでいる。攻撃を受けた形跡はなさそうだ。しかし、それでも彼女を圧倒する強さを、相手が持っているのかもしれない。

 走り、急いでミヅキの傍に駆け寄る。

「大丈夫か、ミヅキ!」

「は、はい……なんとか」

 隣まで来て、ようやく剣護が来たことを認識できたのか、頷いてみせる。だが視線は、相手の方を向いたままだ。

 ミヅキの視線の先を見る。少年だった。前に戦った薫に比べると、多少は大人びて見えるものの、剣護と同じか、下くらいの年齢であるように見えた。

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