表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GAMESHOW  作者: 自由な書き手
第三章 ~戦闘~
18/41

5

「お疲れ様です。貴方は無事に勝ち残ることが出来ました、おめでとうございます」

 秀彦の背後からショウが現れ、拍手と共に嫌味に聞こえる台詞を放つ。彼は気を失った翔大の前に立つと、ぶつぶつと呪文を唱え始めた。

「待ってくれ! 彼はただ戦闘不能になっただけだ。また時間を置いて戦うことだって……っ」

「確かに可能ですね。ですがそれは、フィールド移動を行ってない時に限ります。

フィールドを移動し、敗北をした方は無条件で……死んでいただきます」

 まだ認めようとしない彼を無視し、ショウは無常にも呪文の詠唱を終えてしまう。

 それと同時に、彼の身体は、呪文によって生まれた風の刃で細切れになっていた。

 秀彦は表情を歪め、死刑執行した張本人は笑顔を浮かべている。まるで楽しんでいるかのように。

 ――まるで、そうすることが……正しいというかのように。

「それではまた、次のバトルに」

 ショウがパチン、と指を鳴らす。

 風景が一瞬にして変化し、そこは剣護と話していた公園だった。

 既にショウの姿は無く、夕焼け空が映る秀彦の視界には、嬉しそうに手を振る剣護と、無表情を貫いているミヅキの姿だった。

「待っていてくれて、ありがとう」

 歩み寄って、手を差し出す。剣護も笑顔で手を出し、握手する。

「仲間……いや、『友達』なんだから、当然ですよっ」

 剣護が恥ずかしがりながらも言い直す。

 ともだち……友達。秀彦の頭の中で何度もリピートされる。現実世界で手に入れることの出来なかった存在に、目頭が熱くなっていく。

 それは剣護も同じだった。彼が承諾してくれるとは限らない。それでも、彼は言わずにはいられなかった。

「……そうだな、僕達は……友達だ!」

 秀彦は笑顔を浮かべた。その目元に涙が溜まっているのを、剣護は見逃さなかった。

 大の男が情けないとか、恥ずかしいとか、そう考える者もいるかもしれない。それでも、剣護にそんなことは言えなかった。

 何故なら、彼もその泣きそうになっている一人だったからだ。

 その光景を眺めていたミヅキとマホは、少し満足そうに微笑んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ