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次の日、四人は約束通りに公園に集まっていた。
何をしているかと思えば、ただしゃべっているだけだ。それでも彼らにとっては、この敵だらけの世界では充分すぎることだった。
「まさかこうやって楽しく話せるなんてね」
今井が笑い、剣護が頷く。ミヅキとマホも女性同士だからか、話が弾んでいるようにも見える……というよりは、マホが一方的に話しているのか。
幸せな時間……。このまま永遠に続けばどれほど良いだろうか? 剣護はそう思った。
だが、そんな願いは脆くも崩れ去った。
「っ!」
二人のバングルから警報が鳴り響く。既に二人の間では警報が鳴らない様に、今井が調整している。それが鳴っているということは、理由は唯一つ。
「久しぶりだなぁ、今井」
二人の男が姿を見せる。今井の名を呼んだ一人は割りとがっしりとした体型で、両腕に籠手を付けて、もう一人の男はどちらかと言えばひょろっとしており、同じく両腕に丸型の刃を持っている。
「お前、藤村……! 藤村、翔大か……」
今井は翔大と呼ぶ存在に驚愕する。
お互いに顔も名前も知っている存在……つまり、彼らはこの世界に来る前から既に顔見知りであった。ということである。
「なぁショウさんよ」
「はい、ここに」
翔大が名前を呼ぶと同時に、ショウが彼の背後に現れる。今井と剣護は驚いているが、呼び出した本人ともう一人は全く動じていない。どうやら呼んだらどこでも現れることを知っていたようだ。
「確か、相手についての素性とか知ってれば場所を移動させてくれるんだよな?」
「ええ、名前などでも知っているなら。
貴方様とそのお相手様を。誰の邪魔も入らない様な素敵なステージへご案内致しますよ?」
誰の邪魔もされない……。つまり、協力して戦うことが出来ないということになる。
「ぼ、僕は行く気はないぞ!」
「拒否権は、有りません」
ショウが指をパチンと鳴らす。
次の瞬間、今井と翔大、ショウの姿は消えていた。
「今井さん!? くそ……っ!」
「さてと、お前には俺の相手をしてもらうぜ?」
剣護はミヅキに触れ、剣を持って構える。そして男は彼の前に立ちはだかり、ニヤリと笑った。




