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第20話 道の弓矢
グシャ
オレの右腕は大口に飲み込まれた。
肘から先は無く、血がドクドクと出てくる。
痛みはない、神経がやられたのだろう。
『うまいぃ! 体もいただきまぁす!!』
「うわっ、ゴブリンの血の色ヤバいな。ハハ、青かよ」
「させるかよ!!! 死んどけデカブツ!!!!」
大剛はトロールの右腕に剣を振りおろした。
昨日の赤ゴブリンのように大剛の腕は真っ赤だった。
『ぐぎゃああ!! 腕がぁ! 許さないぞぉお、お前たちぃ!!!!』
「たぁああ!! 当たれぇえ!!」
道の引き絞った渾身の矢は見事にトロールの心臓をとらえた。
全長7,8メートルのジャイアントトロールは絶命した。
「道、助かったぜ。なかなかやるなお前」
「大剛くんほどじゃないけどね」
「やったな、道、大剛! 腕は無くなったけど倒せて良かったよ」
「デカブツの腕、お前につければいいじゃねぇか」
「そうだね、魔王に見てもらおうよ」
「ハハハハ、それいいかも」
オレ達は勝った。
初めての敵に。
ただ、あまりに犠牲が多すぎた。
しかし村に帰らなければいけない。
オレ達は村に帰った。