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変わった趣味を持つ人々を紹介する番組!「カワシュミの館」  作者: 末紀世(まつきよ)


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8/8

悪趣味なやーつ

世の中には、理解できない趣味を持つ人々が存在する。

 理解されたいのか。

 はたまた、理解されたくないのか。

 それとも、ただ見てほしいだけなのか。


 ここは——

 変わった趣味を持つ者たちが集う場所。


 『カワシュミの館』


「司会は私、館主の——」


黒岩ぐろいわです!」


「そしてアシスタントの——」


「はい!!

** それではぁあ?(川口でぇえーーす!!おーいw**



** 次のカワシュミはコイツ!」


 男が現れる。


 小柄。

 メガネ。

 手には——


 財布。


観察原かんさつばら 慎太郎と申します。」


「んでわぁ?

 あなたのー?

 変わった趣味、ワッツ!?」


「はい」


 男は静かにうなずく。


「わたしはですね——」


 一拍。


「自分の財布をベンチに置いて、

** どうなるか観察するのが趣味です」


 スタジオ、

 一瞬静まる。


「……」


 黒岩、

 ゆっくり顔を上げる。


「今、

 なんて言いました?」


「はい」


「財布を置いて、

 人の反応を見るんです」


「盗まれるかどうか」


「拾ってくれるか」


「無視されるか」


 一拍。


「人間性が見えるんです」


 黒岩、

 しばらく黙る。


 ……


 ……


「……」


 深く息を吸う。


 ……


 ……


「……かはぁーっ……」


 長いため息。


「それ、

 楽しいんですか?」


「はい」


「とても」


 男は穏やかに言う。


「特にですね」


「誰かが」


 一拍。


「周囲をキョロキョロしてから

** 持っていく瞬間**」


 黒岩、

 ゆっくり目を閉じる。


「……おい」


 低い声。


「それはな」


 一拍。


「ちょっと悪趣味だな」


 スタジオ、

 重い空気。


「でもですね」


 男は続ける。


「人は試されるべきなんです」


「社会は観察されるべきなんです」


 黒岩、

 静かに立ち上がる。


 そして——


「インケンカンしょにべいだな!

** 帰ってくりゃれ!」


 一瞬。


 沈黙。


 男、

 少し驚いた顔。


 そして——


「平成じゃなくてよかったな!

** はっ!」


 吐き捨てるように言う。


 黒岩、

 指をさす。


「川口」


「はい」


「つまみ出せ」


「どうぞ!!」


 川口が、

 みかん

 を差し出す。


「……」


 黒岩、

 それを見る。


 一拍。


「……冬か!」


「つまみだせと……」


「柑橘は好きだが今じゃない!!!」


 財布が、

 スタジオの机の上に置かれている。


 誰も触らない。


 ——ここでCMが入る。


 *


 CM明け。


 川口の手が、

 なぜか少しオレンジ色。


 皮の匂いが、

 漂っている。


「えぇ、いかがだったでしょうか?」


 黒岩、

 静かに言う。


 カンペを見る。


「次回は——」


 一拍。


「コンビニのドアを二重に開け閉めする男」


「おおおお!!」


「楽しみですなーー!!」


「また来週!!」


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