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変わった趣味を持つ人々を紹介する番組!「カワシュミの館」  作者: 末紀世(まつきよ)


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5/7

【暇ならコレでも読み喰らいさらせ!!!!】標識を音読して歩く男

世の中には、理解できない趣味を持つ人々が存在する。

 理解されたいのか。

 はたまた、理解されたくないのか。

 それとも、ただ見てほしいだけなのか。


 ここは——

 変わった趣味を持つ者たちが集う場所。


 『カワシュミの館』


「司会は私、館主の——」


黒岩ぐろいわです!」


「そしてアシスタントの——」


「はい!!

 それではぁあ?

 今回ご紹介するのはこの方!!」


 男が現れる。


 リュック。

 スニーカー。

 首から下げた小さなメモ帳。


 いかにも

 歩き慣れている男だった。


「ランナウェイ小手橋こてばしと申します。」


「んでわぁ?

 あなたのー?

 変わった趣味、ワッツ!?」


「はい」


 男は落ち着いて答える。


「標識を音読して歩くことです」


「標識を?」


「はい」


 一拍。


「必ず、

 声に出して読みます」


「例えば?」


「はい」


 男は姿勢を正す。


「止まれ」


 はっきりとした発声。


「徐行」


 力強い声。


「この先 工事中」


 少し感情がこもる。


 黒岩、腕を組む。


「……それは、

 何が楽しいんですか?」


「確認です」


「確認?」


「自分が、

 ちゃんと世界を見ているかどうか」


 一拍。


「見落とさないための、

 訓練です」


 黒岩、

 少しだけ感心した顔をする。


「なるほどねぇ」


「真面目な趣味じゃないですか」


「ええ」


 男はうなずく。


「ただ——」


 一瞬、

 表情が曇る。


「一度、

 北海道に行ったことがありまして」


「ほぅ」


「そこで、

 標識を読みながら歩いていたんです」


 黒岩、静かにうなずく。


「そしたらですね」


 一拍。


支笏湖シコツコ


 男の口元が、

 わずかに震える。


「……」


「……シコツコ」


 肩が揺れる。


「ぶっ……」


 息が漏れる。


「……続けてください」


「はい」


 男は必死に耐える。


屈斜路くっしゃろ


 一拍。


「しゃんなろー!!」


 突然、絶叫。


 スタジオが揺れる。


「しゃんなろーって……

 なんなんですかあれ……!!」


 笑いと怒りが混ざる。


「次から次へと、

 読めば読むほど……」


「笑いが止まらなくなって……」


 男は、

 疲れ果てた顔をした。


「笑い疲れたんです」


 静寂。


 ……


 ……


「それ以来——」


 一拍。


「もう二度と、北海道には行きたくないですね」


 黒岩、

 しばらく黙る。


 カメラを見る。


 ……


 ……


「……かはぁーっ……」


 深いため息。


 そして——


「誰も行けって頼んでねえしw

 行かなきゃいんじゃね?

 バカなの?」


 一瞬。


「——は?」


 ランナウェイ小手橋、

 顔が赤くなる。


「こっちは真剣なんですよ!!」


「知らねえよ!!」


「北海道は危険なんです!!」


「地名が悪いだけだろ!!」


 ——大喧嘩。


 机が揺れる。


 マイクが倒れる。


「川口!!」


「はい!!」


「つまみ出せ!!」


「どうぞ!!」


 川口が、

 チーカマを差し出す。


「だから違うって!!

 人をつまみ出せと言ってるんだよ!!」


「つまみだせと……」


「チーズは好きだが今じゃない!!!」


 ——ここでCMが入る。


 *


 CM明け。


 川口の髪が、

 なぜか少し乱れている。


 頬に、

 小さな絆創膏。


「えぇ、いかがだったでしょうか?」


 黒岩、

 何事もなかったように言う。


 カンペを見る。


「次回は——」


 一拍。


「雨の日だけ傘を逆さにして歩く女」


「おおおお!!」


「楽しみですなーー!!」


「また来週!!」

どうだ?こんな作品誰が書けるというのかね?

唯一無二の作品まだまだいくでぇ

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