第7話「君の指は冷たい」
テストを終え、文化祭が近づいてきていて、気づけば2週間前になっていて、学校は文化祭準備をし始めていた。
先に説明しておくと、俺のクラスではお化け屋敷をすることになった。え?恋愛系はメイドカフェとかだって?そんなのは知らない。
「ごめん今日用事あるから文化祭準備に参加できないや」
と大輔が俺に言ってくる。
放課後文化祭準備をするため人が集まるはずが...
愛芽と俺しかいない
(なんで!?)
「なんか...みんなたまたま今日用事が重なったみたいだよ?」
「だからって2人になることある?」
「まぁ...驚きだよね...」
話すことがない...と思っていると
「零はなんの変装するの?」
「俺はゾンビかな?」
「なんか言うのはなんだけど...地味じゃない?」
(まぁ誰でもそう思うよな...)
「愛芽はなんの変装をするんだ?」
逆に俺が聞き返す。
すると...愛芽が顔を近づけてくる。
その距離は...少し近づけば鼻が当たりそうなほどに...
「!?」
びっくりした俺はとっさに離れる。
まだ心臓がドクン、ドクンと鮮明に聞こえる...
「どうしたの?今教えようと思ったんだけど?」
かなり真顔で言ってくるので混乱する。
「だから吸血鬼!今首を噛み付こうとする真似したでしょ?」
「へ?」
そうだったのか...
「何を想像してたの?」
「別になんも」
「また勝負しようよ...」
愛芽が提案してきた。
「ちょうどお化け屋敷の担当時間別々でしょ?お互いに脅かしあって驚いた方が負けってのはどう?」
「ゾンビでどう脅かせと?」
(この勝負は分が悪いから引くか)
「零がそうしたんでしょ?それとも何?勝負が”怖い”からなの?」
「別にそんなことないし」
あっ...この流れは...
「じゃあ勝負しようよ!」
やっぱり...
(また勝負に乗ってしまったな)
「やるからには勝つからな!」
「ゾンビでどうやって勝つの?今のうちに変えてもいいよ?」
(変えれたら変えるけど、もう変装道具買っちゃったからな)
「じゃあまた負けた方は言うこと1つ聞くでいいかな?」
愛芽がまた提案してくる...
卓球の時の二の舞にはならないようにしたい...
そう思いながら準備を進めた。
考えるうちにひとつ秘策を思いついた。
道具なんて使わなくてもこれなら勝てるんじゃ?と程々に自信がある。
「あのさ...話変わるけど、零は誰かと文化祭回るの?」
「うん?特に決まってないし、そんな相手いると思うか?」
そう、俺は友達が少ない...
「確かに!」
(納得しちゃうんだ...つらい)
「じゃあ、私と一緒に回る?」
と笑顔で愛芽が言ってきた。
「へ?」
俺はびっくりする...愛芽は友達が沢山いるし、隣の席たがら少し聞こえていたがもちろん異性の人も誘う仕草を見せていた。
「なんで?」
(なんで俺を選ぶんだ?また、からかっているのか?)
「私は君と回りたいんだよ...」
と小声で言っているのが聞こえた...
その仕草がとても.....
「分かった、俺も回る人がいないから困ってたし。」
(そうだ、ここで断っても一緒に回る人なんて後は大輔ぐらいだしな...)
少し顔が熱い気がした...
「じゃあ約束ね?」
と小指を出してくる
「ああ、約束」
小指と小指が触れる瞬間やっぱり...
「君の指は冷たいね」
と言われてしまうのだった。