第4話「君の願い事」
部活に入って約1週間
部長である鷹梨先輩や副部長の鈴木先輩などを中心に少数部活ながらも県大会に行っている人が多い。
そのため初心者の俺でもとても優しく分かりやすく教えてくれる。なんでそんなに教えてくれるかって?
それは.....
1年生の部員は俺と愛芽の2人のみだからだ!
部を継続していくために育てておきたいという裏もあるのだろうが、それにしても親切に接してくれる。
いつも通り先輩に教えて貰っていた時、
「私と試合してみない?負けた方は勝った人の言うこと
1つ聞くで」
と愛芽が俺に提案をしてきた。
言うことをひとつ聞くは少し嫌だが...
(自分の実力を確かめるのにいい機会なのかもしれない)と思い試合に望むことにした。
試合は一瞬で終わった...
愛芽の圧勝...
セット数は3対0でぼろ負け
俺がミスをする中、愛芽は確実に点を取ってきた。
(強すぎるだろ...こんなに差が開いていたなんて)
普通にショックだった...
「で、愛芽は何が望みなんだ?」
「う〜ん、じゃあ...今日一緒に帰ろ?」
入学式以来一緒に帰ることはなかったから少し驚くが
(まぁ、一緒に帰るぐらいなら)
「それが願いならわかったよ。」
そこで視線を感じた。
視線を感じる方を見ると部長がニヤニヤしながらこちらを見ていた。
「いいな、今のうちに青春しとけよ。進路を考え始めたらそんな暇無くなるからな。」
「青春って...俺はからかわれているだけですよ」
「なんでからかわれていると思う?」
(なんでか...なんでか聞かれたら理由は分からないな、そもそも入学式で会ったばかりなのに妙に馴れ馴れしかったんだよな...)
「それは分からないですね」
「分からないのか...」
と部長は台の片付けに向かう
俺はそれを手伝いに部長について行った。
その後俺と愛芽は2人で帰路を辿っていた。
「今日は予報だと雨が降るだよな...」
俺は空の雲色が悪いなと思いふとつぶやく、
すると...
「えっ?今日雨なの!?」
と愛芽が何やら焦り出す
「予報だけど、この空を見たら降りそうだな」
「雨だと何か都合が悪いのか?」
「いや...ちょっとね、折り畳み傘を忘れたから」
(折り畳み傘を気にするなんてやっぱり女子力高いな)
「そうえば、もうすぐ中間テストだね!」
「そうだなー」
(うん?)
「もちろん勉強してるよね?零?」
(中間テスト?)
「ちなみに...後何日ぐらい?」
少し顔を下に向けて愛芽に質問をする
「3日後だけど?」
少し愛芽がにやりとした表情で言う。
(完全に忘れていた...やばい...)
「俺急用思い出したから急いで帰るな!」
(早く帰って勉強しよ...)
「じゃあな!」
「うん、勉強頑張ってね」
バレてるなと思いながら家に向けて走り出す
家まで3分で着くぐらいまで走った頃だろうか...
雨が降ってきた...