第27話「君の番」
ホテルではトランプをした。
2人でやることなんてスピードぐらいだ。
それにしてもとても気まずい空間が広がっていた。
そりゃあ夏祭りにあんなことがあったからな……
途中大輔から電話があった。
父親は無事で朝には戻ってくるらしい。
そしてやがて…消灯の時間となった。
「まだ……起きてる?」
そんな愛芽の質問に
「ああ」
「少し話をしよ?」
「突然だけど、なんで私が入学式初日から異常なまでに馴れ馴れしかったのか分かる?」
「わからない……」
本当に俺には身に覚えがない……
「それはね、何故か君に親近感が湧いたからかな?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないし、私にもよく分からないや笑」
「なんだ…そりゃ。」
急に眠気が襲ってくる
「そっか…零は覚えてないのか」
そんな愛芽の小さな小言が聞こえる
俺と同じ目線に女の子が雨の中走っている……
「お前!びしょ濡れじゃん!大丈夫か?」
「私…傘忘れちゃって…えっと…濡れるのはダメなの」
「なんだそりゃ」
「とにかく急いでるから」
そういって走り去ろうとする女子に
「待てよ!濡れるのはダメなんだろ?」
男の子がさしている折り畳み傘を
「折り畳み傘……やる!」
男の子が女の子に渡す。
「あっ……ありがとう!あの!名前は?」
俺目線の男の子?は既に走っており、かすかに何か聞こえてるが何を言ってるか雨の音で分からないーーーーーーーー。
俺は目を覚ます。
「夢か…」
俺はつぶやく
(変な夢だったな)
太陽の光が差し込んでいる訳ではなく…まだ夜中だということを察し、ふと隣を向く。
(あれ?愛芽がいない…)
布団から飛び起き、近くにあった薄い上着を来てホテルの外に出る。
走って愛芽を探し出す、
海の方に1人の女の子が立っていた…
心の中で安堵した俺はその女の子にゆっくりと歩み寄る。
「風邪ひくぞ〜」
俺は着ていた薄い上着を”愛芽”の肩にかける
「貸してくれるなんてやっぱり優しいね!」
「なんでこんな夜中に?とか聞かないの?」
「愛芽にも事情があるんだろ?」
「うん…少し……寝れなくてね」
少しの間の後愛芽が何かを決心したかのように口を開く
「零…私……引っ越すんだ…外国に。」
ザブーンと波の音が響くほどに空気が静まり返る。
「だからあの時零は私のために”告白”を断ったのね?」
(やっぱり愛芽は知らなかったのか……)
(いやいや…)
「なんで零が…泣いてるの?お父さんから聞いてたんでしょ?」
(泣い……てる?)
愛芽に言われて初めて気づく、
「だって…友達だから、寂しいに決まってるだろ?ずっとこんな日常が続くと思ってたから…」
(あらためて聞くとやっぱり悲しい……)
少し顔が笑顔になった愛芽が
「隣……座りなよ。」
っと言い、言われた通り隣に座る。
「この前の夜帰ったあとお父さんに言われたんだ。」
(あの人が言っていたことはあらためて本当だったのか…いや、本当だということを知っていたがそれを否定している自分がいたのかもしれない……)
「そうなのか…」
波の音が鮮明に聞こえる…それほどまでにぼーっとしているのだろう。少し風と波が強くなっている気がする。
「あの時、零が断ってくれなかったら私はきっと辛かったと思う。こういうのはなんか変だけど...ありがとね。」
俺の心臓は痛む。
「ごめんな...」
俺は謝る。
「いちばん辛いのはお前なのに……」
その言葉に愛芽はニコッと笑い
「日本に心残りがあるとすれば2つかな…」
「話は変わるけど…私さいつもちょっと小さい折り畳み傘を使ってるじゃん?あれ…昔名前も知らない子に貸してもらってから、その子が誰かわからなくてずっとその子に見つけて貰えるように使ってるんだ!」
「そうか…」
確かに愛芽はいつもあの折り畳み傘を使っている
「見つけて貰えるといいな…」
「うん!」
「あと一つは……」
「へっくしょん!」
大きなくしゃみを俺はする…
ニコッと笑った愛芽が
「戻ろっか!」
そう言いながら薄い上着を俺の肩にかけるその時何か腰に当たった気がした。
「そうだな…」
(しんみりしててもしょうがない今はこの日常を楽しもう!)
そう思い、愛芽に微笑み返し、愛芽の背中を追った。
その時……波が高くなって愛芽を飲み込む。
ザブーン!時間差で俺の耳にその音が伝わる。
(嘘ださっきまであんなところまで波は来てなかった)
「愛芽!」
俺は…そう言いながら愛芽のいたところに走る
最悪だ!
雨と風が現れ初め、やがて嵐となる
暴風に足を持ってかれそうだ!
(なんでこんなに天気が急変しっ)
「!?」
波に飲まれる愛芽の姿を見つける。
「今度は俺が助ける番だ!」
最終話まで残り3話です!




