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Cicatrix  作者: 深海輝蕾
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第十九話 疾風の如き美丈夫!(誇張過多、もはや詐欺レベル)フォーク野郎登場

 作者さん、オレの初登場回は「疾風の如き美丈夫!フォーク野郎登場」にしてくれないかな―。(byフォーク野郎)

 …善処します―。(by深海輝蕾)


第十九話 疾風の如き美丈夫!(誇張過多、もはや詐欺レベル)フォーク野郎登場

 開いたドアの前に立つのは禍でもなんでもなく血みどろの男だった。翠玉と背丈の変わらないそばかす顔のやや筋肉質な男は自分と同じように血みどろの男をおぶっている。

「こりゃ、厄介だな…」

 黒豹が引き攣った笑みを浮かべる。しかし、ただならぬ状況を理解したその琥珀色の瞳の奥は鋭く光っている。

「よォ、フォーク野郎。どこの仮装パレードに行って来たんだ?」

「馬鹿言ってんじゃねェよ…そこの路地で襲われたんだよ」

 フォーク野郎はざっくり切れた腕を庇うようにへなへなと座り込む。

「ワトソン、闇医者呼べ。このモブ男Aのことを頼め。フォーク野郎はこっちだ」

 ワトソンは何も言わずに頷くと電話を掛けに走り、黒豹はフォーク野郎に肩を貸すと風呂場の方向に向かっていく。それに翠玉もついていく。

「誰もドアの外に出るな!いいな」

 フォーク野郎は黒豹の隣にいる翠玉に気付くと、目をハートにしてメロメロしだす。

「そこの綺麗なお姉さん!オレ、シュリ!シュリ・ゲーゲンベルク!オレと付き合ってくださァァァァ」

 シュリ・ゲーゲンベルク。異名、「フォーク野郎」、「街夜叉」、「修羅」などなど。巷の賞金首(指名手配犯)をフォーク一本で狩り生活の糧としている賞金稼ぎ(バウンティハンター)。今まで狩ってきた賞金首、数知れず。狩りで築き上げたその総資産、果たしていかほどか…。

 ここで、フォーク野郎ことシュリ、興奮のあまり突発的な鼻からの出血によるショックで気絶。

「チッ、しょうがないヤツだ」

 黒豹はシュリの突然の気絶に驚くどころか呆れたようにシュリを引きずっていく。黒豹は風呂場の戸を勢いよく開ける。すると、湯船のへりにいるエメラルドグリーンの髪の人魚が驚いたような顔をして、ラフィーネと同じように彫刻に戻る。今や、つやつやと輝く人魚はおらず、人魚がいた場所に白い石の人魚の彫刻が尾で空っぽの湯船のへりをふちどるようにあるだけだった。

「シラ、傷を洗いたい!水を湧かしてくれ!」

 その途端、天井から冷たい水が物凄い勢いで三人に降り注ぐ。その衝撃で意識を取り戻したシュリは翠玉を見るなりまた懲りずに声を掛ける。

「そこの綺麗なお姉さん、お名前ェェェッ」

 またも全て言い終わる前に鼻血により気絶。

「翠玉、お前はここから出て着替えろ」

 前髪から水を滴らせ目をしぱしぱさせながら黒豹が言う。翠玉が風呂場から出るか出ないかのうちに風呂場が大きく揺れる。

「血で私を穢すなァァァァッ、そしてここに来るときは裸で来い、ワレェェェッ」

 シラ。風呂場の人魚の彫刻。また、水の魔人にして恋の魔人。黒豹に恋し、黒豹が裸で浴室に入ることで湯船に湯を沸かす。その時に「疲れを癒す湯」などのオーダーを入れるとその通りの湯を沸かしてくれる。つまり、シラとは最強の給湯器にして最強のバスクリンである。しかし、血で浴室を汚したり、黒豹が服を着て入ってきたりすると豹変する。

「…ハクション!悪かったって!でも急を要するんだよ!!」

「服を脱げェェェッ」

 今度は熱湯が黒豹とシュリに降り注ぐ。

「熱ッ⁉」

 シュリはその衝撃で意識を取り戻すも、翠玉の姿が見えず、きょろきょろしている。

「あーッ、分かった!分かったから!でも今日だけは譲ってくれ!」

「仕方がない。そこまで言うのなら今日は譲ってやる」

 湯船に澄んだ水が満ち満ちる。見ただけで嬉しくなって手いっぱいに掬いたくなるような清水である。

「お望み通り、傷を洗う水だ。傷の菌、痛みを除き、治りを早くする」

「礼を言う、シラ。この分はきっちりまた払う。フォーク野郎、斬られたところを見せろ」

 黒豹が桶いっぱいに水を掬って傷をざばざば流す。最初は沁みるだの痛いだの喚いていたシュリだが、シラの水の効能を感じ始めたようで、経緯を話し始めた。

「ちょっと一晩泊めてもらおうと思ってこの家に向かってた。その時、路地で男が襲われてた。だからオレは助けに入った。そうしたらオレも襲われた」

「で、その襲ってきたヤツってのは賞金首か?」

「いや。違うと思う。ポスターにはない奴だった。どちらかというと通り魔とかそっちに近い系」

「そいつの特徴は?」

「とにかく、白い服装の奴だった。おかっぱ頭で髪も白かった。いや、あれはシルバーブロンドっていうのか。あと、背が高かったかな」

 シュリが特徴を並べるにつれて黒豹の表情が渋くなっていった。

「…俺くらいの背丈のヤツか?」

「ああ、そうそう!」

「…甘ったるい匂いがしなかったか、香水の」

「そうそう!なんで分かんだよ」

「覚えてないのか、フォーク野郎」

 シュリは黒豹の言わんとしていることを汲み取って戸惑った顔をする。

「え…でもだって雪豹(あいつ)は死んだはずじゃ…」

 シュリにとって雪豹は自分の故郷を殺した憎き仇であった。その復讐を果たさんと雪豹を追っていた時に黒豹と出会い、雪豹を追い詰めた。だからシュリも雪豹の最期をしっかりと見届けた人間の一人だった。

 黒豹は片手で顔を覆う。

「おい、黒豹、なんとか言えよ。雪豹は死んだ、そうだろ⁉」

「ああ…でも俺はどうしてもできなくて…そのまま土葬にした。あの時、しっかり祓ってもらえばよかったのかもしれない…」

「どういうことだよ⁉」

 シュリが黒豹を睨みつける。

「…あいつが素直に一回で死ぬと思うか、ってことだよ」

 黒豹が静かに言う。

「はぁ⁉バカにでも解るように言えよ」

「あんな過激思想の塊みたいなヤツ、体が死んでも体を残しておけば、残った未練が体を乗っ取ってまた生き返る。つまり呪いと化すってことだよ」

「で、でも、まだ雪豹って決まったわけじゃ、」

「まァな、でもその可能性も捨てきれない、ってことだよ」

                    ***

 その頃、風呂場の外では。

「え、ちょっと翠玉さんどうしたの⁉」

 ワトソンがびしょ濡れの翠玉を見て目を見開いた。

「…風呂場、吠エタ」

 面をしていない翠玉は片言で話す。しかし、ワトソンが状況を理解するのには十分だった。

「ああーッ、ごめんね!バカ豹のせいで!いいよ、その服が乾くまであのバカ豹の服借りればいいから!黒豹の部屋ね、ここ上がって突き当たりだから。そこのクローゼットの服借りな」

「分カッタ」


 何でも屋、荒波の中で揺れる―⁉



 








深海輝蕾の部屋

記念すべき第一回めののゲストはフォーク野郎ことシュリ・ゲーゲンベルク氏です!


フォーク野郎:作者さん、オレの存在感薄くね…⁉なんか全部雪豹に持ってかれてない⁉

深海輝蕾:うん。あなたはそういう役なんです。でも私は好きですよ、あなたのこと。結構トップクラスですよ。

フォーク野郎:あと、あの綺麗なお姉さんに話しかけると気絶させるのやめて⁉

深海輝蕾:うん。あなたは(以下略)。

フォーク野郎:おいおい!もう略しちゃってるじゃん!でなんだっけ、ここではある貴重な話を聞けるんだっけ。

深海輝蕾:そうです。あなたというキャラがどう生まれたか、知りたくないですか?

フォーク野郎:いや…それオレ本人に話しちゃう系?それって大丈夫なの?

深海輝蕾:まァ、大丈夫でしょう。

フォーク野郎:じゃあ、まずオレって作者さんにとってどんなキャラなんでしょう!

深海輝蕾:私を元気づけてくれるキャラ、ですかね。シュリって基本元気がいいキャラだから、私もめちゃくちゃ疲れてる時はあなたになりきって頑張ってることもあります(笑)。あと、ビジュアルのバランスを整える役目もありますね。ホントは雲豹を筋肉質なパワータイプにしようかと思ってたんですけど、兄弟豹ってなんか三人とも私のイメージ的にはひょろっこくなっちゃって。そうすると、「あ、この作者ってモデル体型のイケメンしか書かないんだ」ってなっちゃうし、ビジュアル的に偏りが出て、書いてて私がつまらなくなっちゃう。それにシュリは黒豹という人間を書く際にはすごく重要な人間になってくると思います。

フォーク野郎:つまり、オレって結構キーパーソンだと。

深海輝蕾:そうですね。なのでこれからも頑張って頂けると幸いです。というわけで今日はここでお終い!ゲストはシュリ・ゲーゲンベルクさんでした!次回もお楽しみに!

     



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