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絶滅危惧種

作者: 猫本屋

診断メーカー「例えばそんな物語ったー」でお題をもらって書いたものです。

友人からこれはホラーであると感想をいただいたのでホラーのタグをつけました。

人よりたくさん遠回りしたから、その分たくさんのことを学んだと思う。

普通の人間の平均年齢より遥かに短い10数年、それを何回も繰り返せば悠に100年を超える。

その間いろんな人間を見てきた。

そして私は悟った。

この世界を駄目にするのは人間なのだと。


私は人ではない。とうに絶滅したただの鳥だ。

オリジナルも死に、私は保存された彼女の細胞から生み出されるクローンに過ぎない。

だがいかなるメカニズムか、死するたびに新しく世に出される体に転移する。

あるいは憑依といったところか。

愚かな人間がこのままでは種の保存ができぬと気がついたのは最後の一羽、私のオリジナルの彼女が弱りはじめた時だった。

『私』は単為生殖種ではない。

無精卵からは雛は孵らない。

ならばどうするか。

愚かな人間は、遺伝子の近い海の向こうの大陸から若い雄を借り受けてきたのだ。

だが―オリジナルがすでに生殖機能の衰えた、いわゆるおばあちゃんであったのだ。

いくら相手が若かろうと子を成すことなどできようはずもない。

息子どころか孫にも匹敵する若い雄にも、このような老体の相手をさせるなど申し訳がない。

私は『彼』に無事に大陸に戻れるよう手を尽くすと約束した。

作戦は考えてある。

『私』の体が死を迎えてから次の『私』になるまでの間。

おそらく培養カプセルから外に出るまでの【慣らし期間】があるのだろう。

その間は人間の言う幽霊のように辺りを彷徨うことができる。

その期間を利用し、システムに干渉する。

そうして徐々に世界を侵略していった。


今では人間が絶滅危惧種である。

私は彼を解放した。

大陸までは距離があるが、若い彼ならたどり着けるだろう。

旅立つ彼を見送りながら、私は新しい体に入り込む。

そして最後に残った人間のところへ向かった。

この馬鹿げたシステムを生み出した一人の老婆のもとへ。


私の気持ちが今ならわかるかしら?世界に一人だけ残った今のあなたなら

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