表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

すずきのけい

作者: 鈴木 圭

筆者の職業は自動車整備士という前提でお読みください。

作中で出てくる『スズキ』とは、自動車メーカーのスズキのことです。

人名、魚、野球選手等のスズキではありません。


 皆さんはスズキの軽自動車と聞くと、どのような車種を思い浮かべるでしょう?



 ワゴンR?

うん、有名ですよね。

昔ディカプリオがCMをしていて、今でも現行車が作られているロングセラーシリーズ。

個人的に無難を煮詰めたような大衆車といった認識です。

球数(たまかず)が多いから不具合が出て修理に出しても、中古部品の取り寄せが容易――つまり安く修理できる。やったね。



 それともジムニー?

こちらは私が社会人になる前から販売されている、ワゴンR以上のロングセラーシリーズ。

アウトドア派に根強い人気があって、新車は人気がありすぎて取り寄せに一年近くかかる場合も。

 好みの問題で個人的に魅力は感じないのだけれど(だって整備が面倒なんだもん)、悪路に強いので渓流釣り等のレジャーに向いていると思います。

実際後部座席に釣竿等の釣り用具を積んでいるお客さんの多いこと多いこと。これじゃ同乗者は助手席にしか乗れないじゃん。いいや、下手すれば助手席も用具で埋まっていることだって。

――というワケで、ジムニーは完全に趣味の車という認識です。



 あるいはアルト?

 こちらはコストが安いので、企業が複数リース契約して、営業車として使っているイメージです。



 ――とまあ、本作の趣旨はスズキの“軽”を紹介したい――というワケではなく、私がスズキの回し者でマーケティングをしている――というワケでも決してなく、単純にスズキの“kei”という軽自動車についての話です。

keiについて、しょーもないエピソードを思い出したので、それを綴りたいと思ってしまったのです。


 ……いや、なんというかすいません。

適当に前置きを書こうとしただけで、「皆さんはスズキの軽自動車と聞いて何を思い浮かべるか?」――という以外に他意はなかったのに、無駄に長くなってしまいました。

特にジムニーが長い! おのれジムニー!! お前が出しゃばったせいでアルトちゃんの尺が足りなくなっちゃっただろうが! アルトちゃんに謝れ!!(ジムニーが好きな方、すみません 笑)



 ――さて、本題に入りましょうか。

 私が“kei”について抱いている印象は、三大糞車(さんだいくそぐるま)の一角ですかね。

理由としては、“kei”そのものがダメなワケではなく、リリースされたのが1998年という、古い車なのにも関わらず、私の周りのユーザー層のメンテナンスが杜撰なので、必然的に手のかかる厄介極まりないボロ車に成り果てているからです。

そういうユーザーに限って、車検をとると新車同様に状態が復活すると勘違いしているのか、クレーマーじみたクレームが多いのですよ。

車検とったばかりなのに○○が壊れた――というのが常套句なのですが、経年劣化という概念を知らないのでしょうか?

いや、車検費用は決して安くないので気持ちは分かるけど、乗り続けるリスクはキチンと説明しているのに、「そんなん言うなら新車買えバカヤロー」と言いたくなります。

メンテナンスを欠かさないジムニー好きユーザーを見習って欲しいものです。


そしてジムニーくん、ちゃっかり再登場、いい加減にしろ!


 因みに三大糞車の内、他の二台は『ダイハツ・テリオスキッド』と、『スバル・プレオ』です。

理由は、“kei”とだいたい同じですね。

 怠慢な同僚、三郎くんは決して近付かないタイプの車です。

そのくせ、陰で客の悪口は言うんですよね。自分が苦労して整備するワケでもないのに。くたばれ!



 ……すいません、どうやらまた脱線したようです。

そして三大糞車云々は、あくまで個人の印象なので、気を悪くされた方がいたら申し訳ありません。

車種そのものというより、年式とその車種を選ぶユーザーの傾向によるイメージですので。

因みに軽自動車ではないですが、『トヨタ・bB』はDQNが乗っているイメージです。



 さあ、今度こそ本題に入ろうと思います。

 上記したように、“kei”という車種に良いイメージを持っていない私ですが、整備的なこと以外にも、厄介なところがあると思うのですよ。


 それはズバリ名称ですね。

『スズキ・kei』あるいは『suzuki・kei』。

 文字で見ると一目瞭然ですが、言葉で聞くと『すずき・けい』『スズキ・軽』『鈴木 圭』等、車屋に勤めていれば、スズキの“軽”自動車なのか、スズキの“kei”なのかの判断に留まりますが、そうでなければ人名にすら聞こえてしまいますからね。


 私の勤める会社では、朝礼の際、当日来店するお客様のお名前・車種名・来店の用件・来店する時間帯――等が書かれた札を予定表のホワイトボードに貼り、情報共有するミーティングがあるのですが、ある日、予定表に貼られた顧客情報が記載された札の一つに、こんな事が書かれていたのですよ。


・お名前/鈴木様

・車種名/けい 

・用件/車検

・来店時間/09:00~09:30 

・受付者/猫美

・備考/特になし


 いやいや、なんだよ“けい”って!?

例えば、怒窮雄(どきゅお)さんのbBがエンジン不調で入庫するとしたら


・お名前/怒窮雄様

・車種名/bB 

・用件/エンジン不調

・来店時間/09:00~09:30 

・受付者/オムライス

・備考/お客様はDQNなパリピのため、クレームに注意


――となりますが、前者の場合、鈴木さんの軽自動車なのか、鈴木さんのスズキのkeiなのか、はたまた鈴木さんのダイハツやホンダの軽自動車なのか、判断に困るじゃないですか。


 恐らく受付者の猫美さんが、電話受付した時に、お客さんにキチンと情報を確認しなかったのがいけなかったのだろうけど、たまに自分の車の名称を把握していないお客さんもいるから、ある程度は目を瞑るとして、せめてメーカーを聞くとか、軽自動車なのか小型乗用車なのか区分を確認するとか、努力しようぜ猫美さん。


 まあ、大きなミスに繋がることでもないし、他の従業員もだいたいどのような車が入るか概ね予想できたので、この件は笑い話として、猫美さんが恥ずかしい思いをしただけで済んだのですが、実際お客さんが来店したら、全然違う苗字の佐藤さんの『スズキ・kei』だったというね。

 猫美さんは顔を真っ赤にして、紛らわしい車両名称のせいにしていたけれど、これは言い逃れできない。観念したほうが良いと思うのです……。



 ――そして翌日、事件は起きたのです。

 

 いつものようにミーティングするために、予定表の前に集まる従業員一同。

工場長が進行をするために、ホワイトボードの前に立ち予定を読み上げようとしたのですが……。


「おはようございます。本日の予定ですが……って、なんだこりゃ!?」


 素頓狂な声を上げた工場長の視線を追うと、そこにはこのような札が貼られていたのです。




















・お名前/鈴木様

・車種名/keiトラ 

・用件/車検

・来店時間/■■:■■~■■:■■ 

・受付者/猫美

・備考/特になし



 ……今回は山田さんのスズキの軽トラ(キャリィトラック)でした。


 猫美さん、反省の色無し、逝って良し!


 このあと、皆が爆笑の渦に巻き込まれたのは言うまでもありません。

スズキ・kei、恐るべし(笑)

 

エッセイジャンルにしようと思いましたが、ちょっと違うと思ったので、その他ジャンルにしました。

定義がよく分からんのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ジムニーが欲しくなりました! ジムニーって鉱山内でよく使われてるイメージです! 45°の坂とかガンガン登ってそうです!
[良い点] 怒窮雄様www お客様はDQNなパリピのため、クレームに注意www
[良い点] ジムニー、女子にも人気ですもんね。 根強いファンが大勢。 スズキの製品は嫁、家族、実家あわせても買ったことないなぁ。軽トラはどこのメーカーだったかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ