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ペンタグラム  作者: 白絵
魔王軍との接触編
9/16

クロVSトロール


激しい振動と共に、轟音が響く。大きな体躯から放たれる一撃一撃が、クロを追い詰めていく。


「動きが大きい分、何とかかわしきることができるけど、当たるとまずいね、これは。」


クロはトロールの攻撃を何とかかわし、応戦していた。


クロは先程から何度かグラビダンをトロールに当ててはいるが、トロールの速度や力は全然落ちる気配がなかった。


試しにパンチやキックを入れたが、全然効いてる気配がなく、攻めあぐねていた。


逆に、一撃をまともに喰らえば戦闘不能になるおそれがあるため、ギリギリの闘いを強いられている状況であった。


それでもクロは冷静に相手の攻撃を見極め、回避し、グラビダンを撃ち込んでいた。


「参ったね、これは。何回か当ててはいるんだけど、無理やり動かしてもこのスピードは厄介だよ。」


トロールはクロのグラビダンを受けても、無理やり力で重力の影響を打ち消していた。


しかし、とクロは考える。

今のところ、5回グラビダンを当てた。そして、心做しかトロールも僕の技が当たらないような立ち回りをしている。ということは、少なからず影響が出始めているに違いない。


ならば、とクロは行動に移す。

今、こちらが無理をしない限り、状況は何も変わらない。それなら、少しリスクを負ってでも、技を当てる方が得策だ。

あと何回当てれば良いか分からないけれど、効果が出るまで当てればいいだけのこと。


クロは意を決して、接近戦を挑むべく、トロールとの間合いを詰めた。


トロールもクロの動きを察したのか、更に攻撃を強めた。


降り注ぐ弾丸のような拳をギリギリのところで回避し、牽制のために蹴りやパンチを入れつつ、クロはグラビダンを1回、2回、3回と当てた。


何とか、あと2回。このまま一気にー。



その時だった。



「グオォォォォォオオオオ!!!!!」


怒号と共に放たれたトロールの一撃がクロを捕えた。

拳が当たる瞬間、咄嗟に急所を回避するべく、左腕と左足でガードを試みるが、為す術なく吹き飛ばされた。


しくじった。油断した。クロは心の中で考える。倒れ込み、後悔するが、その眼はトロールをしっかりと見据えていた。

そして、殴り飛ばされる直前、トロールにカウンターの要領でグラビダンを当てていたのだ。


「ハァ…ハァ…ハァ…グオォォォォォオオオオ!!!!!」


そして、クロを殴り飛ばしたトロールに疲弊の色が見える。クロはそれを見逃さなかった。


ほとんど動かない左足を引き摺りながら、クロは立ち上がり、トロールへと歩を進める。


トロールもグラビダンの影響がある中、クロにとどめを刺すため、突撃する。


大きく振り回されたトロールの拳に対し、クロは避けることなく、右手を前に構える。


「グオォォォォォオオオオ!!!」


「グラビダン!!!」


轟音とともに、トロールの一撃を喰らったクロの体が吹き飛び、壁に激突する。

そして、グラビダンを喰らったトロールは地面に突っ伏して身動きが取れなくなっていた。


唸り声を上げながら、付与された重力に抗うトロールの前に、ボロボロのクロが立ちはだかる。トロールの拳を2度、モロに喰らい、立つこともままならない状態になりながら、それでも勝機を伺い続け、動けなくなったトロールを眼下に見下ろす。


「危なかったよ。得意だと思っていた体術も効かなかったから、こんなリスキーなことをするしかなかった。おかげでまた1つ強くなれたよ。ありがとう。」


トロールは呻き声を上げ、必死にもがいていた。抗うために大きな体を力なく動かしながらもがいていた。


クロはそんなトロールに手をかざし、技を発動する。


「グラビゴウ!!!」


クロが放った技は高密度の重力溜りを作り、トロールの上半身を圧迫する。圧に耐えきれなくなったトロールは魔石を残し、消えてしまった。


クロはふぅ、と一息つき壁に持たれながら腰を下ろした。


「ちょっと、やられ過ぎちゃったかな。でも、何とかなってよかったよ。」


クロ対トロールの闘いは、クロの勝利であった。


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