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ペンタグラム  作者: 白絵
魔王軍との接触編
7/16

行け!


「ヒーローだと?ハーッハッハッハッハ。誰かと思えばこんなガキどもが来ただけか。」


イタクァは5人を一瞥し、嗤った。スキルが発動したばかりの子どもが5人、ヒーロー気取りでやって来たのだ。何も恐れることはない。ただ、嬲り殺すまでだと考えていた。


「ハーッハッハッハッハ。せっかくだ、人間同士で潰しあえ!!!」


イタクァの言葉で、領主宅に居た連れ去られたとみられる者たちが一行の前に立ちはだかる。


「やめろ!拙者たちはただ、助けに来ただけだ!」


アザーは人々に声をかける。


「ハーッハッハッハッハ。無駄だ。その人間共は俺様の細菌の力で命を掌握されている。俺様が少し技を発動するだけで殺すことができるのだ!!!」


イタクァは説得を試みるアザーを嘲笑う。人々は怯えた表情で、歯を食いしばりながら、一行に対して武器を構える。

アザーはさらに怒りを増幅させるが、その時、


「…雪の華!」


セイカが技を発動し、人々の動きを止めた。


「…ここは、私が。」

「私も手伝いますよ、セイカさん!」


セイカに続き、ノベーも人々の制圧に買って出た。アザー、クロ、リログは2人にその場を任せ、イタクァ目指して突撃を開始した。


「ハーッハッハッハッハ。小癪なガキだ。おい、トロール、ナーガ、奴らを殺して来い。」


イタクァは面白くなさそうに顔を顰め、傍にいたトロールとナーガに命令をだす。


「グォォオオオオ!!!」


「シュロロ、承知しました。」


トロールとナーガはイタクァの命を受け、アザーたちに攻撃を仕掛ける。


「シュロロ、死ぬがよい!」


ナーガは剣と盾を持つ戦士であり、弱点である腹をその巧みな盾捌きで防ぎながら戦う戦闘スタイルである。

イタクァから命令を受けたナーガは勢いよくアザーに斬り掛かる。

キンっという澄み切った音と共に、ナーガの剣をリログの大剣が防いだ。


「お前の相手は俺がしたるわ!その変わり、あいつぶっ飛ばしてこいよ?」

「シュロロ、何を言っている。まあ、良い。貴様の望み通り1対1で相手をしてやろう。せいぜい楽しませてくれよ?人間!」



怒りを滲ませたリログと、人間を見下すナーガ。

リログ対ナーガの戦いが今、幕を開けた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ナーガを通り過ぎ、そのままイタクァに向かおうとすると、言葉を持たぬトロールが襲いかかってきた。

クロはリログ同様、アザーに向けられた攻撃を防いでみせる。


「ここは僕がなんとかするよ。その怒り、あいつにぶつけて来なよ!」


クロはアザーに声をかけたあと、すぐさまトロールに向き直る。トロールは武器を使用せず、純粋な力のみでの攻撃を得意としている。その力は頑丈な壁をも簡単に打ち砕くほどのものであり、まともに食らっては一溜りもない威力である。

クロと対峙したトロールは怒号を轟かせながら、クロの前に立ち塞がる。


「グォォオオオオ!!!」


「さて、ここは通さないよ?」


クロ対トロールの激しい戦闘が始まっていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おい、覚悟はできてるんだろうな?」


イタクァを目の前にし、アザーは怒りを爆発させて叫ぶ。

それに対してイタクァは少し首を傾げながら問うた。


「ハーッハッハッハッハ。なぜ、昨日今日来た貴様らがそんなに奴らを助けようとする?命も狙われたのであろう?」


下卑た笑いを受けべながら、さもドッグーの住人が勝手に行動し、襲いかかったかのような言い分である。


「確かに、関わりとしてはそうかもな。だけど、事情も聞いたし、何より街の人のために自分の感情を押し殺して、必死にもがいているエナを見て、少なくとも助けたいと思った。それだけで十分やろ。」


アザーはそう言い終えるとイタクァに戦闘態勢で向き直る。


「ハーッハッハッハッハ。理由はわかったが、貴様程度に俺様が倒せるのか?俺様の細菌のスキルで貴様を殺す。そして、トロールとナーガに貴様の仲間が殺られる。残り2人と街の住民はその後に貴様らの元へと送ってやろう。」


イタクァは立ち上がり、アザーに手を向ける。


「ウイルスショック!」

無数の黒いオーラをアザーに向けて放った。


「ハーッハッハッハッハ。俺様の細菌は触れれば貴様を蝕む。さて、どこまで耐えられるかな?」


イタクァは邪悪に嗤いながら、アザーに攻撃を仕掛けた。


「うわっ!あっぶな!」

アザーはイタクァの技を何とか避ける。そして、攻撃に転じるために距離を詰め、思いっきりぶん殴った。


「ハーッハッハッハッハ。今、何かしたか?」


アザーの拳を顔面にモロに喰らったイタクァだったが、何事もなかったかのようにしている。アザーはイタクァにダメージを与えるべく、何度も何度も拳をぶつけるがまるで効いている様子がなかった。


「どれだけ硬いんだよ、お前。」


「ハーッハッハッハッハ。自身の無力さを憎みながら死ね!ウイルスウェーブ!」


イタクァは細菌を広範囲に広げながらアザーを襲う。アザーは何とか直撃は避けたものの、イタクァの攻撃はアザーの左腕を掠めていた。


「…っ。ちょっとかするだけでこの痛みか。エナさんや街の人達はこれよりもずっと苦しんでるんだ。このくらいじゃ弱音は吐けない。」


けど、どうする?拙者の攻撃は全然効いてないし、短剣はあるけど、ダメージを与えられるかは正直微妙だ。あの分厚そうな毛皮、多分顔と同じぐらい硬そうだし、頼みの技も今はフラッシュしかない。この光を何とかコントロールできたら変わるのかもしれないけど、期待はできない。


考えてても仕方ない。とりあえず、めげずに何回も何回も殴ればちょっとくらいは壊れてくれるやろ。


やるしかないなら、拙者はそれをするのみ。腕はすごく痛いし、多分拳もそのうち悲鳴をあげるだろうけど、そんなこと言ってられない。


もしもの時はフラッシュで何とか相手の技の直撃をかわせるよう、目眩しすればいい。


アザーは覚悟を決めて、立ち上がる。


「お前のその頑丈な体と拙者の拳、どっちが先に壊れるかためそうじゃねぇか!!」


「ハーッハッハッハッハ。その前に貴様を俺様のウイルスで動けなくしてやろう!」


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