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ペンタグラム  作者: 白絵
魔王軍との接触編
3/16

仲間


アザーの技を聞いてからどことなく気まずい雰囲気が流れている中、一行は故郷のキャットを出てから1番最初にある街、ドッグーに到着しようとしていた。

キャットからドッグーまでは馬車で5時間程の距離であり、道なりもほとんど真っ直ぐなため、途中からリログも練習をしていた。


馬車に揺られて居る中、アザーがふと呟く。

「今のところ、クロが地図読めて、リログが御者練習してて、セイカが植物とか動物に詳しくて、ノベーが料理できるよな。」

「まあ、セイカとノベー以外は一応できる程度だけどね。」

「何もしてへんのにいきなりどうしてん?」

リログが少し悪態を付きながらアザーに問いかける。

アザーは少しバツが悪そうに視線を逸らすが、続けた。

「拙者はリーダーやからな!皆をまとめる仕事がある!で、思ったのがあと7人から8人くらい仲間は欲しいのよ。」


清々しく自分が何もしないことを正当化し、アザーはまだ見ぬ仲間のことを口にする。


「とりあえず、治療ができるやつ、鍛冶の技術があるやつ、動物の世話ができるやつ、あとできれば料理できるやつも!この辺は欲しいよな。」


アザーが言っていることは最もだと、皆が思った。

今のところ戦闘はないが、魔物や魔王軍がある世界で冒険をする以上、戦闘は避けられない。だが、今怪我をすると応急処置はできても手当はできない。だからこそ、治療ができる者は必要である。


鍛冶職人に関しても、武器や馬車の劣化を修復できるものが必然的に必要になる。また、街道が整備されていない場所を走るために馬車を改造する必要もある。


動物の世話に関しても同様で、現在2頭の馬(額に傷があるスミとほんわかした雰囲気のヒロ)の世話をする者が欲しいところではあった。また、仲間を増やすとなれば必然的にノベー1人で料理をするのは大変であるし、馬車1台では限界が来るため、増え次第馬と荷台を購入しなければならない。


そうなると御者も必要になってくる。クロとリログができるとはいえ、クロは地図を読んで道を案内しなければならない。そのため、できれば御者ももう1人欲しいのが本音である。


「アザーの中でどんな人が理想とかあるのかい?」

物思いに耽けるアザーにクロが質問を投げ掛ける。クロの質問の答えにリログ、セイカ、ノベーも耳を傾けていた。


「んー、そうだなー。とりあえずは医者か鍛冶職人かな?ぶっちゃけ今の戦力とか全然わからへんし、拙者は強い自信あるけど、皆の力は未知数やし。」


確かに、子どもの頃の記憶を辿ると、アザーは喧嘩じゃ誰にも負けなかった。クロともリログともしたことはあるが、2人は負けず嫌いで決着は着かなかったが、スキルを使用しない場合においては、キャットの町で1番強いのは大人を差し置いてアザーだとまで言われていた。

ただ、それはスキルを使用しない場合であって、今はわからない。それぞれにスキルと武器の相性があるのだ。

例えば、短剣を持つアザーと大剣を持つリログでは単純な剣の撃ち合いであれば、リログの方が有利である。


今の段階ではどうなるのかわからない。とにかく、戦闘し経験を得るしかないのである。


アザーがそんな考えを巡らせていた時であった。

御者台のクロとリログから嬉々とした声が響いたのだ。


「みんな、魔物だよ!出発して数時間、やっと冒険らしくなってきたよ!」

「しかも丁度俺らと同じ5体おるから、ええ力試しなるで!」


声のすぐあと、クロの指示のもと、リログが馬車を停め、全員が馬車から降りて武器を構えた。

現れた魔物は最弱クラスのゴブリンであった。

そしてゴブリンと一行との戦闘が開始した。

こちらに襲いかかってくるゴブリンを1体1で迎え撃てるようにそれぞれが動く。

そして、対峙した結果、勝負は早々に決した。


先ずセイカが氷の刃という技を発動し、ゴブリンを貫き勝利した。

文字通り、氷の刃は氷の剣を生み出し、それを武器として攻撃する技であった。

次にクロ、リログがそれぞれ決着をつけた。

クロは指先から重力の弾丸を発射し、敵に重力を付与する技であるグラビダンを使用し、動けなくなったゴブリンを得意とする蹴りで仕留めてみせた。

リログは大剣を突きの構えで持ち、剣先から焔を放つファイヤーバレットでゴブリンを倒した。

ノベーはゴブリンの全ての攻撃を盾で受けながら、隙をつき、風の刃で敵を切るエアカッターで勝利した。


ちなみに、魔物は倒されると消え、その後には魔石が残るだけである。

魔石は高く売ることができるため、魔物を倒せば倒すほどお金が増えるという感じである。


4人が技を使用しながら、幸先よく勝利したすぐあと、少し離れたところから眩い光が放たれた。


そして、息を切らしながら魔石を片手に持ったアザーが光の方向から歩いてきた。


「どうしてそんなに息を切らしてるんだい?」

みなの疑問をクロが代弁する形で問うた。


「拙者の技、フラッシュは魔力をほぼ全部使うんや。」


アザーの答えに皆はまた黙ってしまった。


ちなみに、魔力はスキル技を使用する際に必要な力である。魔力は修練により、その最大値を上げることが可能であり、15歳時点での魔力量は親からの遺伝や生活によって異なるのである。


兎にも角にも、一行は初めての戦闘で無事(?)怪我なく勝利を収めたのだ。




ードッグー付近の街道にてー


ゴブリンとの戦闘も無事に終え、一行はまた馬車に乗り込み、ドッグーを目指していた。


そしてようやく5人に取って最初の目的地であるドッグーを目の前にしていたとき、1人の少女が倒れているのを目にした。


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