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ペンタグラム  作者: 白絵
魔王軍との接触編
13/16

"聖"


ドッグーの街を出て、数時間が経った。

その間、リログとクロが交代で御者をし、道のりを進んでいた。


「次の目的地はどこになるんだ?」


「地図通りに行けば、ラビットだね。スミとヒロのことも考えると、2日後には到着するよ。」


「初めて馬車に乗ったけど、意外と乗り心地がいいのね。これなら2日くらいなら大丈夫そう!」


「ほんとですぇ。まあ、私らも日を跨いで馬車に揺られた経験はありませんが、案外余裕そうですねぇ。」


そんな会話をダラダラと2時間ほど続けていると、少しずつ日が暮れて行き、一行はキャンプができるところに停泊していた。


ドッグーの街で買った材料を元に、ノベーとクロとエナが下ごしらえをし、アザーとセイカが集めてきた薪にリログが火を灯していた。

最初、リログがファイヤー・バレットを使用し、集めた薪が燃えカスになってしまったことは言うまでもなかった。



無事食事を終え、談笑を楽しんでいた際、技の話になった。


「そう言えばアザーの技名、星座の名前を使っててかっこよかったけど、みんなは何か意識してるの?」


エナが口にしたアザーの技名に、皆が噛み付いた。


「お前、星座の名前にしてるん?それはちょっとイキってるわ〜」


「…かっこつけすぎ。」


「きっと昔から決めてたんでしょうねぇ、痒くなってきました。」


「いや、拙者は普通に頭を過ぎった技名にしただけだからな!?」


アザーの弁明に耳を貸す者は居らず、いやいや、と皆否定的であった。


「みんな、せっかくアザーがかっこよく決めた技名なんだから、やめてあげなよ。まあ、星座の名前にしてるのはちょっとどうかと思うけど…。」


クロも庇うように見せながら、アザーの技名に言及していた。


「じゃあ、みんなも技名をオシャレにしたらいいじゃねぇか!拙者に憧れてるんやろ?知ってるから!」


アザーは言葉に皆、火に油を注がれた形になり、ワイワイと賑やかな夜となった。


ちなみに、エナはこれまで通り、その場で思い浮かんだ技名にすることになったが、他はそれぞれ決めていた。


クロは基本的に何でもよかったがどうせならということで、漢字を技名に使用することにした。セイカは花の名を基本にすることにした。リログとノベーは自身のスキルでもある焔、風にまつわる言葉がたくさんあるため、それをそのまま技名に使うことに決定していた。


翌日、それぞれが支度を済まし、馬車を走らせ次の街を目指して進み出した。


昨日、リログがほとんど御者をしていたので、今日はクロが御者を担っていた。リログは御者台が好きなのか、クロの隣に腰掛けていた。


荷台ではアザー、セイカ、ノベー、エナが、ドッグーで購入したトランプを使用してゲームをしていた。


ゲームはセイカがずっと一人勝ちしている状況で、アザーの叫び声が再三響いていた。



そしてまた、夜になり、夕食を済ませて団欒していた時のことであった。


「そういえば、魔王を倒す予定なのよね?」


「もちろん!拙者らの目標だからな。」


「じゃあ、みんな"聖"くらい強くならないとだね。」


「聖…?って、なんだ?」


エナが発した言葉に全員キョトンとしながら、アザーがエナの言葉に質問をした。

エナは全員の表情に愕然とした。


「"聖"を知らないの!?現在、人間界で最高の5人なのに!?」


驚くエナに対し、5人はただただ首を傾げるだけであった。はぁ。とため息をついたエナは5人に説明した。


「いい?人間界にはそれぞれの分野で最高の力を持つと言われている5人が居るの。その人たちをみなは"聖"と呼ぶわ。剣聖・トーカ、弓聖・ミーヤ、拳聖・ケイジス、槍聖・フーリン、聖女・ベーツェ。」


「かっこいいー!!!拙者も呼ばれてぇ!!」


「その5人はかつて冒険に出て、魔王をあと少しのところまで追い込んだの。けれど、追い込んだだけで、倒すことはできず、今は別々の場所に居るのよ。槍聖・フーリンと聖女・ベーツェは魔王を倒すために王国を創り、ミーヤは巫女としてこれまで居た場所に戻っているわ。後の2人は浮浪していて、どこに居るかわからないけどね。」


「そうか。なら、最初の目標は拙者らそれぞれが聖を超えるところからだな!拙者はもちろんやけど、お前らにも聖を倒せるくらい強くなってもらわなきゃ困るからな!」


「ちょっと、簡単にそんなこと言ったって…」


アザーの言葉にエナが全てを言い終える前に、


「何を言うとんねん!お前が超えれて俺らが超えられへんわけないやろ!」


「一緒に冒険に出て、魔王を倒すって決めたんだから、言われなくてもそのくらいはするつもりさ。」


「自分がちょーっと強くなったからって、私たちのことを舐めすぎですねぇ。」


「…心外。」


4人は既にその気持ちであり、アザーの言葉以上のことをやってのける気で居た。

その反応を見て、エナはこの5人なら本当にそうするのだろうと素直に感じた。

魔王軍の話をしても、聖の話をしても、揺るぐことの無い自信と強さを持っているのだから。


「…。でも、アレやな。聖はなんかピンとこうへんから、神とかにしてほしいわ。焔神とか!」


「君が焔神なら、僕は何になるんだろうね?」


「…クロは特殊かも?」


「私は風神、セイカさんは氷神とか付けやすそうですねぇ。」


そんなことを言いながら、夜も耽っていった。


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