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ペンタグラム  作者: 白絵
魔王軍との接触編
11/16

光の射す方へ


苦しみながら、立ち上がったアザーに、苦しみもがく人々に、七色の優しく温かい光が降り注ぐ。


その光はイタクァのウイルスを中和し、少しずつ治療していく。


「ハーッハッハッハッハ。今頃になって何をしに来た、エナ。俺様の邪魔をしやがって。まずは貴様を八つ裂きにしてやろう。」


「このまま、あんたに従って一生暮らしていくくらいなら、その方がマシかもね。私は、この人たちに賭けたの。街にいる皆もそうよ。もう、あんたの言う通りに生きるのは辞めたの。」


イタクァはエナの言葉を聞き、怒りを顕にしながら、攻撃の手を向けるべく、魔力をまた練り上げる。


「おい、お前の相手は拙者だ。フラッシュ!!!」


エナの方を向いていたイタクァはすぐ様、アザーに向き直った。しかし、フラッシュを発動したアザーの拳を避ける術はなく、殴り飛ばされる。


イタクァはすぐ様立ち上がり、アザーを睨みつける。

アザーもまた、イタクァから目を離すことなく、倒すべき対象として狙いを定める。



「ハーッハッハッハッハ。この街で生まれたことを後悔させてやる。俺様が貴様らみたいなゴミ共に負けるわけがない!」


イタクァの言葉に、エナは少し足がすくみ、フルフルと震え出した。


エナの技により、辛うじて動けるようになっていた人々も、その場から動かず、ただ下を向いているだけであった。



「言いたいことはそれだけか?」


そんなイタクァの言葉を聞いた後でさえ、アザーは表情を変えることなく、ただ勝つために魔力を集中させていた。


「ハーッハッハッハッハ。ダメージを与えられるからなんだと言うのだ。俺様と貴様では実力が違う!これで終わりだ!貴様を殺し、この街の者も皆殺しだ!ウイルス・ランス!」


イタクァは残りの全ての魔力を使い、アザーを殺すために技を発動する。

莫大な量のウイルスを槍状にし、そのままアザーに向けて放った。


「簡単に、殺すとか言ってんじゃえねぇ!お前なんかにこれ以上この街の人にも、拙者の仲間にも、何もさせねぇ!エーリス・ライト!!!」


アザーは怒りとともに、新たな技を発動する。右手に集中された、莫大な量の光はまるで羊の毛のように拳を覆い、イタクァが放ったウイルス・ランスを吹き飛ばし、勢いをそのままにしてイタクァに直撃する。


「俺様が、、、いずれ魔王軍最高幹部になるこの俺様が、こんな奴らに、、、」


「お前はやり過ぎた!お前が居るせいで、苦しむ人がいる!お前なんかに、俺もこの街も負けない!!!」


アザーの放った一撃はイタクァを吹き飛ばし、辺り一面を眩い光で包み込んだ。それは、エナがアザー達を回復させた温かい光とは違い、人々に希望と勇気を与える力強い光となった。


イタクァが消え、アザーの目の前に魔石が転がったのと同時に、アザーやエナ、元領主宅に連れてこられた人々、そして街の人々を苦しめていたウイルスによる痣が消えた。


「痣が…消えてる。もう、あんなことしなくて済むんだ。よかった…。」


エナは安堵し、頬に一筋の涙を流しながらそう呟いた。


激闘を終えたアザーはドサッという音と共にその場に倒れ込み、深い眠りについた。


同じく、クロ、リログも負った傷と疲労からその場に倒れ込み、眠っていた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ー2日後ー


爽やかな風と温かい日の光を浴びながら、アザーが目を覚ました。


「寝てたのか。・・・。腹減ったな。」


アザーは体を起こし、頭を掻きながら大きな欠伸をした。


ガチャっという扉が開く音とともに、クロとノベーが入ってきた。


「目覚めたんだね、アザー。」


「調子はどうですかい?」


「まあ、何とか大丈夫そう。けど、腹減った。」


「あのあと、魔力のほとんどを消費してずっと寝てましたからねぇ。」


「クロも中々ボロボロになってたのによく起きてるな!」


「僕の場合、ただ傷が酷かっただけだから、エナさんのお陰で何とかなったんだよ。それに、リログも次の日には元気になって街に行っていたよ!」


そんな会話をしているとまた、扉が開く音がして、今度はリログ、セイカ、エナが部屋に入ってきた。


「起きたんか。調子はどうや?」


「…大丈夫そ?」


リログ、セイカが心配の声を掛けてくれる。そして、エナも。


「無事でよかった。今回は、本当にありがとう。あんなことをしたのに、助けてくれて。」


そう言いながら、また涙を流し始めた。

それほど、この4年という期間は辛く苦しいものであったことを物語っていた。


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