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畏怖  作者: 瀬戸宇治 峻
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アレ。

人は夢を見る時、自分の記憶を整理する為に見る物とされている。

時折、他人と同じ夢を見る時があるそうだが、

まさに俺だ。

——君との夢の共感が昔からあった。

内容としては子供の頃から、楽しい夢なんて見た事が無い。

何故断言出来るのか?

全て覚えてるから、——君は忘れてる事が多かったが、俺が覚えてる。

夢のなかでも——君は優しかった。

守ってくれてた。




「ばーちゃん!」

と言いながら抱きつき、優しく優しく背中をさすり頭を撫でてくれる、この手が大好きだった。

遊びに行った日には必ず、お菓子が沢山あり、

メロンやスイカは一玉丸々食べさせてくれる。

ジュースも色々あり、

ご飯の時は大根を薄切りにし、ピンク色に染めた甘い漬物を出してくれた。


そんなばーちゃんが倒れて病院生活になった時に、

小さな自分に言ってきた。

「お前はねぇ、アレに好かれてしまったからねぇ

ばーちゃんは守ってあげるからね」


「でも、———すーいさんは神様なんでしょ?神様に好きになってもらえたら嬉しいよ!!」


『——す—いさんはね、神様だからねぇ

いつも見てるんだよ、どこで連れてこうか見てる。

だからばーちゃんが守ってあげなきゃいけない。』


「どこに連れてかれるの?」


「ばーちゃんの事を呼んでも届かない場所。」



優しい手は頭を撫でてくれるが、

自分は恐怖のどん底へ落とされた気がした。



「怖がらなくて大丈夫、ばーちゃんが見守ってるからね、これ、これやるからずっと待ってなさい」

そう言いつつ、ベッド横の棚を開けて何かを探してる。

そこから出してきたのは小袋。


「これはね、御守りだからね

ばーちゃんが守るという意味があるからね」


「わかった!ばーちゃん!守ってね!」

うんうんと頷きながら、

その晩、ばーちゃんはこの世を去った。



ハッと飛び起きると、俺自身の部屋のベッドで飛び起きた。

泣きながら起きるのは何度目か、

今日は仕事が休みで良かった。


また体を横にして、夢の内容を整理する。


悪い夢では無い。

いつもの事、体が休まらない理由もこれだ。

夢の中だけども、実際に行動してるのと同じ疲労を感じる。

暗い沼に静かに沈み込むかの様な状態が続く。

今が夢か現実か。


また、眠り入る寸前に身体が強張る。

動かない。


部屋が暗く助けを求めても声が出ない。



暗い部屋の中に人影がゆっくりとウロウロと何かを漁ってる。

目だけで追い、身体を動かそうにも動かない。

夢の中か。

目を閉じようにも閉じれず。

ソレはドレッサーの中や鞄の中を漁っており、

こちらには見向きもしない。

机の上も漁り始め、探し物が無いのか

ゆっくりとこちらを向き始めた。


暫く俺を観察してるなぁと思っていたら、

尋常じゃない速さで目の前に来た。

ソレは何かを言っている。


何かを訴えてる、口が動いてるのは分かるが顔が真っ黒で見えるのが口の中のみ。


ずっと何を話してるのか分からない。

何も聞こえない、

身体が動かない。



『ばーちゃんの指どこぉー』


突然の大きな声が聞こえて

俺は叫び、

身体がようやく動いた。


アレは何処にも居なくなり、

急いで電気を点ける。

汗が流れ出ていて、心臓が大きな音を立ててる。

考えたくないが

ばーちゃんだったのだろうか?

俺はアレから逃げ切れてない。

アレはずっと見ている。


か—-す—-いさん。

忘れてはいけない名前が少しずつ出てきている。

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