宿泊
酷く目が眩む、周りの音は声は俺の容態を悪くしてく様だ。
「いーけないんだ!いーけないんだ!せんせーにいってやろー!」
自分を囲んで指をさされ、囃し立てられる。
泣きそうになりながらも我慢をする。
クラスメイト全員が自分を悪く言う、
元々はアキトのせいじゃないか。
クラスで飼っていたインコが二匹居た。
黄色と青色のインコ。
その黄色の方が弱ってしまい、鳥籠の中で今から息を引き取ろうとしている。
昨日、餌当番だった自分とアキト。
自分は昨日の帰り際にアキトに餌を入れとく様に伝え、帰宅した。
アキトは教室でナオキとダイちゃんと話しをしており、聞いてるのか聞いてないのか分からない返事を返されたが3人もそこにいるのだから、
やってくれるだろうと思い帰ったんだ。
朝、教室へ来ると皆んなが鳥籠を囲んでいた。
どうしたのと問いかける前にドアの開ける音を出した自分を皆んなが見てくる。
そこからの口論が始まる、一対七の口論。
今回の話しとは関係の無い、過去の失敗談や悪口。
どうせお前はと罵られる。
そう、昔から。
運が悪いのか、それとも何か別な理由なのか。
何もしていないのに、何も。
親からも、先生からも、
何か自分達の不都合があれば周りは自分を攻撃し、全ての悪事を被せようとしてくる。
罵られ、返す言葉などを考えるのも疲れ果て。
黙ると皆んなは満足したかの様に去って行く。
いつも、そう。
そして、何事も無かったかのように、
休み時間になると遊びに誘われる。
今思えば、何かあった時用の盾なのか。
だから、人が嫌いだ。
いい顔の裏を読めてしまう人になってしまった。
そんな中で、優しくしてくれたのは
——君と——君の家族だった。
遊びに誘ってくれるし、お泊まり会もしてくれた。
懐かしく優しい人達。
ただ——君の家の仏間だけは怖かった。
じいちゃんの家の仏壇より数倍の大きさで
何か異様を放っていた。
とある秋にお泊まり会を行った際に、
いつもとは違う雰囲気があった。
知らない大人達がお酒を酌み交わし、
皆んなが黒い服や着物などを着ており。
誰かが死んだ訳でもない。
そんな中でのお泊まり会。
自分はまぁ——君がいるし大丈夫と思い、
思い思いに楽しんでた。
2人で風呂に入り、泡などで遊んでたら、
——君がポツリと言った。
『ねぇ。——君。怖くないの?』
なんの事かと。仏間で寝るのが怖いのかと問いかけると、
『.....違う』
少し悲しそうに拒否をしてきた為に、
自分が心配になってしまい、2人で手を繋いでた。
風呂から上がると、そこに——君のおじいちゃんが黒い着物のような、着て立っていた。
「——、——君。お風呂から上がったら少し大切な事をするから、これに着替えるよ」
そう、優しく言われ自分達は白い着物の様な物を着せられた。
それから、透明な水でお酒の匂いのする物を少し飲まされて仏間に運ばれる。
仏壇の扉は板などで閉じられており、
先程まで騒いでた大人達は無表情で正座して座って並んでいる。
緊張感のある空気を感じ取り、黙ってしまう。
怖くて足を前へ進めない自分を、
少し無理矢理に背を押し進められる。
「ここに座りなさい」
と促され座らされる。
静かに座ると、お坊さんの様な人達が続々と入ってきて自分達を取り囲んだ。
——君のおじいちゃんは自分の真前に座り、
静かに言った。
「これから、大切な事をするからね。
このお坊さん達が念仏を唱えてる間にこれを飲み切りなさい」
そう言いつつ出されたのは、少し白く濁りがある液体。
また、器が大きく子供の自分達にはかなり量が多い。
——君のおじいちゃんを見ると、
無表情で圧迫してくる。
これを飲まなければ。
静かに頷くと、木魚と手太鼓が鳴り始める。
大きな器を持ち、一口飲むと酷く臭いお酒の匂い。
吐き出しそうになるも、周りの大人達の圧に根負けし飲み続ける。
——君を見ると泣きながら少しづつ飲んでいた。
手太鼓や木魚などの音で、気づかなかった。
自分はコレを飲めば、——君を助けれると何故か思ってしまい必死に飲み続ける。
吐き気も出てくるが、途中から体がフワフワとしてきていた。
大人達の顔も歪んでくる。
全て飲み干した頃には、全身の力が抜けてしまい器を落としてしまったが何も考えられない。
酷く疲れてしまい、立とうとするも何も力が出ない。
周りの景色もカメラのシャッターをゆっくりと降りてる感じでグルグルと体が回っている。
そこで自分は記憶が切れた。